こんにちは。
糸島薬局の古賀です。
前回に引き続き今回もノロウイルスについてです。
今回はノロウイルスにかかってしまった時の対処について。
ノロウイルスに下痢止めはNG?
ノロウイルスに感染すると、その潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を起こします。発熱は軽度です。通常、これらの症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
そして、吐いたものや、下痢便には、無数のウイルスが含まれる上に、治ったあとも、便には1週間以上、ウイルスが排出され続けると言われています。
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法(症状に対する治療)が行われます。
特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、下痢などによる脱水症状を起こしやすいため、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行う必要があります。脱水症状がひどい場合には病院での輸液治療が行われる場合があります。
「下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないように」ということがよく言われます。しかり、下痢止めが絶対禁止というわけでもありません。
下痢を治めないことでウイルスを早く排泄するのが望ましい面もあるのですが、下痢を止めずに放置し、下痢が続けば続くほど腸粘膜のダメージが大きくなります。結果、腸粘膜の修復が間に合わず、症状が2週間、あるいはそれ以上と長引くこともあります。
また、現代社会を生き抜く皆さんには、移動中や会議中に下痢がひどかったりするとトイレに立つこともままならない場合もありますよね。下痢止めで下痢を抑える必要がある状況になることも多々あるかと思います。
もちろん、基本の治療は整腸剤を投与することが多いのですが、上記の理由などにより状況によっては下痢止めを処方されることもあります。下痢止めが腸の蠕動亢進を抑える事で、鎮けい剤が効かなかった腹痛が和らぐこともあります。
ノロウイルスに感染したその後の症状に合わせて、適切な時期に、適切な薬の投与を行うことが重要となります。
対症療法(症状に対する治療)の判断はある意味、臨機応変に行う必要がありますが、ウイルスにかかるまえに家族全員で、食事前、トイレ後の手洗いなど、徹底して、ウイルスの蔓延を防ぐことが、やはり肝心と言えますね。