先週、ニュースで毎日新聞が9月限りで富山での配送を取りやめることを知り、びっくり。

 毎日新聞自体の発行部数が減っているが、読売と朝日に次ぐ全国紙だけに衝撃を受けた。

 ただ昨年の1日当たりの販売部数が富山県全体で840部だそうなので、輸送費を考えても採算が合わないはずで取りやめも仕方ない気がする。

 全国紙が特定の県での配送を取りやめるのは今回が初めてで、それが富山県と言うのを意外に感じる人も多いと思うが、そこには富山県特有の事情が潜んでいる。

何しろ富山は富山県の県民紙とも言われる北日本新聞がシェアの半分超を占めており、他には全国紙の読売新聞も強い。何しろ読売新聞は富山県出身の正力松太郎が社長を務めたこともあり、富山県民には長年支持されている。他にも富山新聞や北陸中日新聞もあり、それに加えて近年の“新聞離れ”とあっては毎日新聞の撤退も理解できる。

 購読希望者には翌日に郵送するとは言っているが、そこまでして読む人はどれだけいるかは疑問に思う。おそらくこれまで定期購読していた世帯も当日に届く新聞に切り替えるはず。

 当の毎日新聞は、1日当たりの発行部数が200万部さえ切ったと言われるが、150年以上の歴史を誇り、都市対抗野球や選抜高校野球大会や実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)や別府大分毎日マラソンなど数々の名の知れたスポーツイベントを主催し、開催時には紙面に力を入れている。特に都市対抗野球への熱の入れようは物凄く、この時期社会人野球ファンにとって最も大切な情報源の役割を果たしている。またかつてはプロ野球チームも保有していた時代もあった。1950年プロ野球が2リーグ制になった時、読売のセ・リーグに対抗すべきパ・リーグの船頭となり、毎日オリオンズを初代日本一に導いたほどだった。

 現在富山には、社会人野球の企業チームが2チームあり、今年の本大会には伏木運送が出場している。昨年はロキテクノが出場し、元阪神の藤田太陽を監督に招聘したほどの熱の入れようである。また、かつては北陸銀行も本大会へ出場していたほどである。毎日新聞には各都道府県に支局があるが、地元のチームが試合を行った時は詳しい記事を載せている。

 選抜高校野球の時期でも郷土の高校が出場を決めた際や試合の翌日の紙面にも力を入れている。

 今後は富山のチームが出場してもそのような特集は組まれなくなりそうだ。

 富山独自の事情があるとは言え、今回毎日新聞が富山での配送がなくなったことは富山県以外にも波及しないか心配だ。

 今後はどこの新聞も購読者数が減ることは避けられない。そのため減少を少しでも食い止める努力が必要だ。

 改善の余地はまだまだあると思う。例えば地方紙なら1年間購読し続けたらプロサッカーやバスケットの券を1世帯に2枚配ること。

 J2のチームなら満員になることもなかなかないので1枚2000円程度で新聞社に券を融通できるはず。販売店が1世帯に2枚配ったとしても長年購読している世帯に対し、4000円の見返りは高くないと思う。