写真は5月29日朝日新聞埼玉版の記事。

 今年は例年以上の猛暑になると予想されているのに、相変わらず7月中頃から月末にかけて行われることを知り、残念。

毎年熱中症で倒れる選手がいるので、地方大会(特に関東以南)は6月後半の開催に移すべきだと思う。

 関東地方の場合、選手権の地方大会の前に春の関東大会もあるが、5月中には終了しているので日程面でも問題はないと思う。

猛暑の時期を避けることで選手のプレーの質が上がり、観客にも良いプレーを見せられる。

例年、夏の甲子園の地方大会は7月の10日頃に開幕し、7月の下旬まで続くが、近年の猛暑の中での開催は選手にとっても審判にとっても大変なことではないか。

猛暑が予報される日は、当日の朝にテレビで盛んに「日中の外出はなるべく控えましょう」と告知される一方で高校野球が行われることは矛盾している気がする。

 埼玉を例にとると昨年は35度以上の猛暑日での開催が、7日もあった。

準決勝の花咲徳栄対昌平は熱戦だったが、38.8度の猛暑の中で3時間35分かかり、その日は選手を気の毒に思った。もちろんスタンドで応援している関係者もそう。

 大会にかかわっている人は、選手だけでないと言うことも念頭に置くべき。

試合の開催日には役員の方や審判員や記録員はもちろん、当該校の先生や上下学生服を着た応援団やブラスバンド部員やチアリーダーなど多くの人が球場に訪れる。

 選手は暑い中で野球をすることになれていて、攻撃の時にはベンチに戻れて打席や塁にいない限り休めるが、審判員の場合5回終了時のグランド整備中以外はずっと炎天下の中に立っていなければならないだけに大変なことだと思う。しかも審判員の中には50歳を超えている方も多数おり、ベテランの審判員ほど体にこたえるに違いない。

 他には、応援に行く選手の親族のことも忘れてはならない。孫の晴れの姿を球場で見ようとする祖父母も多数いるが、選手の祖父母は70代や80代の高齢者であるだけに猛暑の時期に観戦することは危険なことだ。

 

 参考として、昨年の大会の開催日の猛暑日のさいたま市の最高気温を載せた。〇は開催中に猛暑を記録した通算日数。

①   7月11日 36.5℃、②7月12日 38.5℃、③7月16日 38.7℃、④7月17日37.6℃、⑤7月25日 37.7℃、⑥7月26日 38.8℃ ⑦7月28日 37.4℃

 猛暑には一歩届かなかったが、7月23日は34.7℃だった。

 最高気温とは言っても日陰のいちばん涼しいところを計った気温なので、38度の場合、直射日光があたるグランドでは48℃あるところでプレーしていることになる。

 これでは選手が持てる力を発揮することも無理な気がする。

 ずっとこの時期に開催してきたからこの時期に開催するという考えは改めるべきだと思う。

 また、猛暑の日が多い7月に開催する場合は、日射病で手当てを受けたり搬送される選手や関係者が多いためその分看護スタッフも多く配置したり、氷をたくさん用意したり暑さ対策の経費がかかる。それらのことを考慮しても6月下旬に開催時期を移すべきだ。

 仕事をしていない老人の中には高校野球を見に行きたくても猛暑の中での観戦をためらう人もかなり多い。

 それらの老人も真夏を避けた開催ならばもっと頻繁に観戦に行くはず。

 もし来年移すことが急だとしたら再来年からでも検討していただきたい。

来年は7月10日までに終わらせる日程にし、その次の年は7月5日までに終わらせる日程にし、3年後以降からは6月中に終わらせる日程というように、段階的に早めるのでも良いと思います。 先日夏の甲子園が1日3試合の日に限り2部制で行われることが決まったが、そんなちまちました考えでなく、開催時期をずらす工夫こそが必要だ。

 甲子園で行われる選手権の本大会は簡単に開催時期をずらせないにしても、埼玉など地方が実行に踏み切るべきだと思う。そうすればプレーの質があがり、暑さ対策の費用を減らす効果が出たとすれば他の都道府県も追随するに違いない。

 最近は、決勝戦を10時開始などにするなどの工夫が見られるが、40年前や50年前とは暑さの度合いが違うので些細な工夫だけでは解決にはならないと思う。

 

 社会保険労務士として労働の現場を注視しているが、猛暑の時期は建設作業員も作業効率が落ちている気がする。またこの時期は集中力も落ち、事故の可能性も高い。近年は人手不足が問題になっているが、ただ手をこまねいているだけでなく建設業界の場合、30度以上ある日は工事をしないとか、作業効率の落ちる7月や8月に休みを多くするなどの工夫をすべきだと思う(そのかわり夏以外の時期は休みを日曜だけにして労働日数が減らないしくみにすれば良い)

 

 話を高校野球に戻すが、“身動きを取りやすい”地方から改革していくべきではないか。

 高校野球の関係者には以上の文を参考にしていただきたい。

 

 尚、下には、例年通り7月に開催する場合のデメリットと6月中にずらした場合のメリットを載せたのでそちらも参考にしていただきたい。

 

7月開催のデメリット

・酷暑の中では選手が本領を発揮しづらい

・試合中は暑い中で2時間以上立ちっぱなしの審判員にとって危険(現に昨年7月26日の神奈川大会決勝では球審が脱水症状になり交代した)

・猛暑の日が多く、熱中症で搬送される人が出る(選手だけでなく、大会関係者や審判やボールボーイや応援団やブラスバンド部員やチアリーダーも)

・熱中症に備えて医療スタッフを多めに配置したり、たくさんの氷を用意するなど暑さ対策の費用がかさむ(オリンピックを夏に開催する場合の暑さ対策の費用がかさむ。2年前の東京オリンピックは、特に記憶に新しい。)

・熱心な高校野球ファンである老人や選手の祖父母が暑い中での観戦をためらう(両親さえも。高齢者が暑さを覚悟で観戦するのは危険。命にかかわることも)

 

6月に開催時期をずらした場合のメリット

・選手が最高のプレーを見せられる(2021年、オリンピックの準備で神宮が使えないため東東京大会と西東京大会の決勝が東京ドームで行われたが、快適な環境で本領を発揮できたことが報道されている)。3年生にとっては高校生活最後の大会

・暑さ対策の費用を削減できる

・猛暑の時期でないため観客が増える。入場料収入の増加も見込める。

・熱中症になることを気にせずに観戦できる。高齢者である選手の祖父母が観戦に訪れた場合、祖父母にとっては孫の晴れの姿を見られ、選手にとっては祖父母に最高のプレーを見てもらうことができる。

・選手の疲労が軽減される分休養日を少なくでき、期間を2週間程度に短くできる。(開催期間が短くなれば運営もしやすくなる)

・高校野球を志す少年が増える。(そうすれば生徒数の少ない高校でも9人以上のメンバーが揃い、合同チームが減る。また野球をやるのは好きだが、猛暑の中で野球をやるのがしんどいと思って高校で野球を続けない人も多い)