少し古い話だが、広島の森下は凄い。

 5月4日のDeNAに先発して7回2安打の好投で3勝目を上げたが、打っても3安打の活躍。打数こそ少ないが、この試合を終えて打率が0.444というのも凄い。

 昨年は6安打を記録し、そのうちの1本がホームランで、2塁打も2本打っているのだから打撃のセンスの良さが伺える。

 投手が1試合に3安打するのも凄いが、打たれた安打よりも打った安打の方が多いと言うのも凄い。二刀流と言っても良いのではないか。

 ドジャースの大谷ばかりが二刀流と呼ばれるが、二刀流とはベーブルースのように守備に着いて打つ人のことを言うもの。

 それにしても広島の投手は全般的に打撃が良いイメージがある。森下に負けず床田もバッティングが良いが、床田は昨年全球団を通じ最多の11安打を記録している。他にも大瀬良などもバッティングに対する気力が感じられる。

 広島に限らず“野球本来のルールを守っている”セ・リーグには打撃の良い投手が他にも多い。

 中日の柳は、昨年投手で3番目に多い9安打を記録しているが、そのうちの2本が2塁打で、今季も現時点で0.273の打率を残している。

 巨人なら昨年戸郷と菅野が5本のヒットを打っており、自らのバットでも勝利に貢献したいという執念が感じられる(元々巨人には打撃の良い投手が多かった。古くは別所、その後堀内、さらには江川、西本、桑田、斎藤など挙げればきりがないが、堀内に至っては3打席連続ホームランを記録し、現役最後の打席でもホームランを打ったほどである。それこそ二刀流。)。

 阪神なら西勇や西純や伊藤も打撃センスが良く、ヤクルトでは小川やサイスニードなどもバッティングに定評がある。DeNAには昨年6安打の東や5安打の濱口なども打力を備えている。

 これらを考えるとどこのチームも主力投手ほど打撃に対する執念を持っていると思える。

 昨年までパ・リーグのソフトバンクにいた巨人の高橋礼も打撃センスが良い。まだ打席数は少ないが、凡打した時もかなり粘っているので打つ気満々に思える。

 一般に投手と言うのは打席にも立ちたいもの。

 投手なら投球が優先であるが、投手の打席を見るのも面白い。

 ヒットこそ打てなかったが、先日伝統の一戦で、西勇と菅野が同学年対決をした時お互いに打席で意地を出した場面も見ごたえがあった。

 野球は9人でやるもの。高校野球や東京六大学野球を見ても投手もラインアップに名を連ねる選手の1人。

 パ・リーグにも打ちたい投手が多いはずなのでパ・リーグが指名打者制を廃止すべき。それが無理なら百歩譲って9人制のセ・リーグと指名打者制のパ・リーグの共存を認めるつもり。

 今後も森下の打席に注目していきたい。