Fujita, Kuragman(1999)や Fujita and thiesse(2002)が提唱している『新しい経済学』は、財、サービスの生産における規模の経済性、財の輸送費用、消費財や中間財そして人間の多様性の相互作用により集積力が内生的に生じるということを主軸に、地域経済、国際経済の発展と衰退のメカニズムを理論説明したものである。
『新しい経済学では』、収穫一定を収穫逓増に、完全競争を独立的競争に変え、輸送費用の存在も認め、立地選択は資源の偏在ではなく、内生的な集積経済によって生じるとしている。
同時期にporter(1998)も「クラスター」概念で産業の地理的な集中が当該産業の競争優位性の形成に寄与していることをしてきしている。(ここではクラスターとはある特定の分野に属し、相互に関連した企業と機関からなる地理的に近接した集団である。これらの企業と機関は、共通性や補完性によって結ばれている。と定義されている)。つまり、ひとつの産業だけではなくそれに関連する産業、そして業界団体や行政などが近接して立地するとともにネットワークを形成し、企業間や産業間で生じるスピルオーバーなどの正の外部経済や取引費用の削減が生産性や競争力の向上に重要であるとされている。
一方で、近年の食品産業に関する研究は食品産業政策研究会(1987)による市場二極分化といった食品産業全体の構造に関する分析をはじめに、竹中・堀口(1987)、堀口・豊田・矢口・加瀬(1993)は、輸入原材料に対する食品産業の立地移動や寡占化の状況を定性的に明らかにした。
阿久根優子(2009)は「食品産業の産業集積と立地選択に関する実証分析」において国内における産業集積を定量的に明らかにしている。地理的集中化指数と産業集積指数を用いて国内における食品産業の同一産業・業種ごとの産業集積状況とともに、原材料の投入産出による産業間の垂直的関係に着目した共集積指数を計測して複数の業種間での産業集積状況を明らかにした。さらに事業多角化により一つの企業が多様な財の生産拠点を持つことを踏まえて、企業内での産業分析について実証分析をおこなった。
そして、産業集積が生じる要因の一つに中間財の輸送費用や取引費用の削減があるので、原材料調達において投入産出関係にある産業間の共集積指数を計測した。その結果、水産物加工や冷凍食品業種間、などの業種において共集が起きていることが分かった。
また阿久根優子(2009)はクラスターの原理にのっとて産業集積指数が上位にあたる静岡の製茶業について産業集積の状況を整理した。その上で、県内の荒茶と仕上茶の流通状況を明らかにすることで、生産や流通に関わる産業だけではなく、関係団体や試験機関といったクラスターのメンバーを特定し、「緑茶クラスター」について考察している。