こんにちは、語源大好き・きんぞうです。私が住む街、大阪府交野市には、京阪電車の「きかんしゃトーマス号」が期間限定で走っています。車両は外も内も、トーマスとその仲間たちで一色になります。

目の前のポスターには、「カーリー」が紹介されていました。「大好物はカレーかな…」などと考えていたのですが、名前の綴り Carly を見て、きかんしゃトーマスの世界が、丁寧に作られていることを感じました。

 

名詞+ -ly = 形容詞

 

接尾辞について勉強された方の中に、「-ly は副詞語尾」と覚えておられる方が多いように思います。勿論、-lyで終わる語は、副詞が圧倒的に多いですが、形容詞もあります。こんなルールです。

 

*名詞 + -ly = 形容詞

*形容詞 + -ly = 副詞

 

carly を複数の辞書で確認をしましたが、存在しませんでした。名前を作った人は、名詞 car に、形容詞語尾 -ly を付けて、「車(のように小回りのきく)ような」と意味を出そうとされたのではないでしょうか。-ly = 形容詞語尾という知識から生まれてきた想像です。

 

接尾辞の代表的役目は品詞変化

 

このブログでは、接頭辞と語幹を中心にお話をしてきましたので、今日は、Carlyに敬意を表して接尾辞を取り上げます。

では、そこで問題です。次の言葉は何を表しているでしょうか。

 

①「ある明日、行くわい、降る・あぶる・いぶる」

②「しょんめん箪笥(たんす)、ある、いてぃー、ねす」

③「イファイ、合図!エイト、円!」

 

答えを出すために、次の各グループを指定された品詞に書き換えてみてください。

 

① 形容詞へ center, humor, economy, cloud, beauty, wear, sense

② 名詞へ decide, develop, important, arrive, original, kind

③ 動詞へ class, real, regular, soft

 

答え

① central, humorous, economic (economical), cloudy, beautiful, wearable, sensible

 

② decision, development, importance, arrival, originality, kindness

 

③ classify, realize, regulate, soften

 

そうですね、①が形容詞、②が名詞を作る語尾です。そして、③の動詞を作る接尾辞の語呂合わせは、ボスが、ふたりの部下(イファイとエイト)に指示を出しているようなイメージです。(これら以外にもありますが、代表的なものは抑えたことになります。)

 

品詞変化をさせることも立派な語源的アプローチです。

*famous を知っているのに、名詞 fame になると辞書を引いてしまう

 

*class は小中学校で習うのに、classify は別単語として高校で修得しようとしてしまう

 

*SDGsで折角 sustainable を知っているのに、sustenance で出てくると初対面のような感じになる

 

などなど、もったいないことが頻繁に起こっています。

普段から品詞変化を意識していれば、記憶に留めやすい語彙がたくさんあります。ひとつの単語に出会った時に、「他の品詞はどんな音・形だろう?」とすこしだけ関心を広げてみることを癖にしてみましょう。今まではまた違った語彙の広がりを実現できることと確信します。

 

〔編集後記〕出張講座を開きました

 

先日7月半ばに、愛知県刈谷市の英語教室で、語源の出張講座をさせて頂きました。高校生8名。全員、語源は初めて。ブログとして文字で語源を語るのも好きですが、やる度に反応が異なる対面には対面の良さがあると感じます。2時間30分の参加型講演の後、語源カルタ取り大会をしました。

 

今回の取り札に、concentrateとcompleteがあり、

それぞれの俳句は、

 

*思い切り 真ん中にする コンセントレイト

*思い切り 満たした状態 コンプリート と、

「強意」を表す com-, con-

で始まっています。

二度目の「思い切り」を読み上げた時に、「前にも出ていた」とささやいた生徒が居て、人知れず感激しました。

 

出張講座セット(説明用 PowerPoint・小冊子・カルタ・PC・プロジェクター・60型スクリーン)を持って、あなたの街にお伺いします。ご興味のある方はご連絡ください。お待ちしています。