はじめて書くブログが「人生最後」??? でも、ステキな話です。
ちょっと風変わりなお葬式を紹介します。
ある田舎町に87歳のお爺さんが老妻と息子夫婦と暮らしておりました。
子供は息子と娘の2人ですが、孫は9人、ひ孫は5人もいる幸せなお爺さんです。
あんまり散歩にも行かなくなり、少々手のかかるお爺さんを老妻は心配しておりました。
ところが、ある日、「おらぁ、浴びる程 酒をのむんだ!」といって、老妻の押し車を借りて、
近くのスーパーに行き、2Lの紙パック入り日本酒を3本、とっくり、お猪口、お燗をするための電熱器まで買い込んできました。
それから、毎晩熱燗のお酒をがんがん呑み、ちょっと寒くなったと言っては夜中に熱ーいお風呂に入っていたのです。
大好きなお酒を飲み、熱いお風呂に入り気持ちいい顔のまま最後を迎えた訳です。
さあ! イベントの始まりです。
お爺さんは常々、「せっかくの香典を坊主と葬儀屋がみ~んな持ってっちまうんだからな~」
と話しており、息子も「そうだいな~、父ちゃんの時は葬儀屋なんかたのまねぇよ!」と話しは決まっていました。
とりあえず、救急車で病院に運ばれ、死亡を確認してもらいました。
最近購入したばかりの、軽ワゴン車(でなければ、トラックの荷台になるところでした。)に乗って、ご帰宅です。
お医者さんの名刺の裏に「検視済」の確認をもらっているので、途中でなにかあっても大丈夫。
お爺さんはブリキ職人をしていた細工場の奥の部屋に寝かされます。
息子はいろいろな手続に走り、3日後午前9時の火葬場の予約をしてきました。
4代目ブリキ職人の孫は材料を調達し、お棺製作にとりかかります。
孫娘はドライアイス業者を探しあて、ドライアイスと樒、大きな花を抱えて帰ってきました。
娘は「大好きなお酒を飲み熱いお風呂にはいり天寿を全うしました」との会葬のお礼文を作ります。
夕方になり、「自ら湯灌済みなんてたいしたもんだいな~」なんて言われながら、お爺さんは孫特製のお棺に入ります。
お棺の上には屋号と「金偏に武」という創作文字と「力」でブリキと読ませる文字の入った「しるしばんてん」をかけました。
遺影は老妻が丁度良い大きさの写真をさっと取り出し、孫の賞状が入っていた額にぴったり納まりました。
2L入り紙パックのお酒に立て懸けると安定感バツグンです。
「わざわざ来てくれただけでもありがてぇんに、香典はいらねぇよ」と
お爺さんの言葉を吹き出しに書き、遺影に貼りつけます。
ひ孫たちが書いた、とっくりとお酒、お風呂の絵も貼りつけました。
2代目ブリキ職人の息子は骨壷の作成にとりかかります。
出来上がったのは銅板製の大きな茶筒型の骨壷! お爺さんの名前の一文字も蓋に浮き彫りになっています。
最後は位牌です。
息子が槇ストーブ用に貰ってきた廃材の中から、桧を見つけて切り出します。
三角柱の形で三角形の台座をつけました。「永遠のトライアングルさ」とのことです。
いっそのこと戒名もつけちゃおう!! と息子、息子の嫁、娘、で考えたのが
「富一院(金偏に武と力でブリキの文字)酒天導爺」
意味は「富子と一雄の家でブリキ職人をし酒によって天に導かれた爺さん」
息子の嫁が筆ペンで書き込み、位牌の完成です。
さあ!完全手作り葬儀の準備は整いました。
早朝から、隣組の人達、友人、知人、親戚の方たちが集まってくれました。
息子が読経の先導をし、皆で題目を唱えます。友人がお焼香の仕切りをしてくれます。
お棺の中にたくさんの樒と花をいれてもらい、軽ワゴン車で火葬場に向います。
火葬の間に息子のチェロと友人のバイオリンの演奏がありました。
エコーがきいて、いい感じです。
お爺さんは骨になり、息子が作った銅板の骨壷に納まりました。
最後の仕上げは近くの宴会場で精進おとしのお料理をいただきました。
亡くなる前日にお爺さんが銀行からおろしておいたお金でぴったり支払ができました。
先日行われた、私の父のお葬式です。