”日米の国民の分断と、連携を取り戻す道” | よくいうかいえ ( Cahier)

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古布リメイク作家のつれづれ日記

今日も三橋貴明氏のブログで政治・経済を学びます。

 

日米の国民の分断と、連携を取り戻す道

 

民主制の研究で著名なスティーブン・レビツキー教授(ハーバード大学)は、1990年代の下院議長、ニュート・ギングリッチの登場以降、政治家が意見の違いを認め合う「規範」が崩れ、二大政党の政治家や支持者の「敵対関係」が加速したと指摘しています。


 なぜ、規範破りが始まったのかと言えば、実はそれが「政治的に有効」だったためです。


 政治的に有効であるからこそ、両党の政治家があしざまに罵り合い、支持者は相手方に恐怖、憎悪を持つようになっていった。
 

 国民を分断することで、政治力を高める。何かに、似ていませんか?


 そうです。自民党や大阪維新の会など、多くの既成政党の政治家が手を染めた「ルサンチマン・プロパガンダ」あるいは「恐怖プロパガンダ(Appeal to fear)」と、ほぼ同じなのです。


 アメリカの状況は、日本よりも深刻で、二大政党の支持者が完全に分かれてしまっています。大雑把に書くと、

◆共和党:地方に住む白人キリスト教徒
◆民主党:都市部の白人、ラテン系・アジア系・アフリカ系などのマイノリティ

 と、「二種類の国民」が存在するような有様になってしまっているのです。

 

日本でも、バブル崩壊後でしょうか、いきなり「既得権益」「利権団体」といったバズワードが「政治」で多用されるようになりました。


 既得権益、や、利権団体、といった言葉は大変便利で、何しろ誰をも「敵」に設定することが可能です。


 そもそも、既得権で気とは、社会的集団が歴史的経緯により維持している権益であるため、「日本国民であること」もまた、立派な既得権益になります。
 

 利権にしても、「利益を得る権利」でございますから、ビジネス契約を交わした法人、個人は全て「獲得」していることになります。
 

 この種の抽象的なワードに「悪」「ネガティブ」な言霊を乗せ、繰り返し「レッテル貼り」をすることで、既存の「既得権益」とやらを破壊し、竹中平蔵をはじめとするグローバリストたちが「新たな既得権益」になっていった。これが、90年代以降の日本の政治の大まかな流れです。


 特に、貨幣のプール論が信じられている世界において、デフレ、緊縮財政、ルサンチマン・プロパガンダの効果は絶大で、
「大阪市役所は既得権益の塊を擁する利権集団である(上山真一)」
 といったレトリックに、コロリと引っ掛かり、
「そうだ!そうだ! (俺は貧乏なのに)俺の税金を無駄に使う大阪市役所は潰せ!」
 と、大阪市廃止、特別区設置の構想が進められた。しかも、それこそ「規範」を踏みにじり、一度否決された住民投票を、五年後に再実施するという異様なスタイルで。
 

 11月1日の住民投票では、「共同体を守りたい」という大阪市民の意志が勝利しましたが、アメリカ大統領選挙がいかなる結末を迎えるのか、全く想像できません。少なくとも、国民が「連携」して新大統領の就任を祝う、といった形にはならないと思います。


 この種の「国民の分断」に対抗するには、どうしたらいいのでしょうか。
 

 思えば、91年のソ連崩壊以前の世界は、東西冷戦というわけで、西側先進国の国民が、国内で罵り合っていられるような状況ではありませんでした。冷戦終結後、日米両国で「規範」が崩れ、国民を分断することで政治力を高める手法が大流行するようになったのは、決して偶然ではないと思います。


 となると、「新たな冷戦」がないことには、我々は「国民の連携」を取り戻せないのでしょうか。


 分かりません。分かりませんが、結局のところ不確実な未来を少しでも「マシ」なものにするために、一人一人が足掻く必要があるのですよ。


 とりあえずは、大阪市廃止・特別区設置の住民投票の裏にあった「プロパガンダ」の構造を、多くの国民が知る必要があると思います。

参考:真相はこうだ!桜便り 特別版「『大阪都構想』破綻とその未来・米大統領選同時中継」

https://youtu.be/uXbrwWKgiuc

 同時に、構造改革主義者たちに「網掛け」され、攻撃されている「同じ国民」を守る。
 

 さらには、このコロナ禍において「同じ国民を攻撃する」政治家に対しては、
「お前は国民国家の政治家である資格がない。一般人に戻れ」
 と、容赦なく批判していく必要があります。


 国民国家の政治家である資格がない人物の代表が、残念なことに、今時「既得権益」などと露骨なプロパガンダ用語を口にした、菅義偉総理大臣です。