今日も三橋貴明氏のブログで政治・経済を学びます。
財務省と、土居丈郎が会長代理を務める財政制度等審議会が、ついに「企業の新陳代謝論」を堂々と主張し始めました。
具体的には、「コロナ恐慌」故に苦しみ、業績が悪化している中小企業について「潰せ」と。
土居丈郎「期限をずるずると先延ばしすると、本来はよりよく新陳代謝が促される機会が奪われてしまう」。
自分は安全な場所から、コロナ恐慌の中で喘ぐ企業について「新陳代謝」という言葉を用い、自己責任論を唱える。
土居、お前、一度、恐慌化の企業の経営者の立場を経験してみろ。
事業が振るわない企業? 恐慌下で事業が振るう企業が、むしろ存在するのか?
人材の流動化? 財政拡大を妨害し、日本のデフレ脱却を妨げ、人材の育成をひたすら阻止し続けてきた財務省や財政制度等審議会が、何を言う。
M&Aが阻害される? つまりは、中小企業を潰し、合併や買収でボロ儲けする禿鷹共の「ビジネスが増えない」と言いたいのか。そうならば、正直にそう言え。
お分かりでしょうが、「企業の新陳代謝論」は、菅内閣というかデービッド・アトキンソンの「中小企業改革」と路線を同じくしています。
日本の中小企業の生産性向上や投資が起きないのは、デフレで需要・市場・仕事が不足しているためです。しかも、20年4-6月期は「小さめに出る」内閣府のデフレギャップ(総需要の不足、需給ギャップのマイナス)であっても、対GDP比で10%を超える、戦後最悪の需要不足。
それにも関わらず、政府は財政拡大で需要を創出しようとしない。企業の粗利補償にも本格的に乗り出さない。消費税廃止や給付金といった家計支援にも動かない。
昨日、菅総理大臣の所信表明演説が行われましたが、補正予算の「ほ」の字もありませんでした。
緊縮財政路線を改めず、恐慌下で企業が倒れていくのは自己責任。
むしろ、企業を救済する施策を「新陳代謝を阻害する」と終焉に向かわせようとする。
我が国の政治は、狂っています。
中小企業経営者の皆様(わたくしもですが)、政府の狂った自己責任論に抗議の声を上げてください。ご地元の政治家に、怒りをぶつけて下さい。
特に、我々が長年働き、懸命にノウハウやスキルを蓄積し、培った「供給能力」を、財政破綻論という誤った考え方に基づき、見捨てようとしている政府のやり方は、まさに亡国の政策なのです。