今日も三橋貴明氏のブログで政治・経済を学びます。(一部抜粋)
先日の三橋経済塾では、マクロな「(二つの)潜在成長率」の問題をメインにお話ししましたが、次回はよりミクロな「中小企業政策」について解説する予定です。
なぜ、わたくしが潜在成長率や中小企業政策をしつこく取り上げるのかといえば、もちろん「危険」であるためです。
事実として、
1.中小企業の生産性は、大企業の半分
2.中小企業は全体の約七割、3700万人の雇用をになっている
以上、日本の実質賃金低迷の主因の一つが「中小企業の生産性の低さ」であることは間違いありません。
繰り返しますが、実質賃金は「生産性&労働分配率」で決まります。
というわけで、中小企業の生産性を高める政策を推進することには、わたくしはアトキンソン氏と全く同意します。
問題は、その先。アトキンソン氏が「総需要と供給能力」の関係について全く理解しておらず(あるいは「理解していないふり」をしている)、「デフレギャップ」があるが故に、生産性向上の投資が起きないにも関わらず、
「中小企業が甘やかされているから、投資が起きない」
と、インフレギャップの解消を目指す「インフレ対策」を提唱している点です。
問題は、
「中小企業が生産性向上のための投資に踏み切れるだけの、安定的、継続的な需要の拡大がないこと」
なのです。
本来、デフレ対策として「安定的、継続的な需要拡大」を財政政策で推進しなければならない日本政府が、緊縮財政を継続しているのです。需要不足、市場不足、仕事不足の状況で、
「中小企業の生産性が低い」
って、そりゃあ当たり前でしょ。
それにも関わらず、今後、
「中小企業は怠けている」
「中小企業は多すぎる」
「中小企業の新陳代謝が必要だ」
といった、使い古された構造改革のレトリックにより、中小企業「再編」という名の「淘汰」が進んでいくことになるでしょう。
ちなみに、わたくしは「政府による需要拡大を前提にした、最低賃金の引き上げ」には賛成しますが、
「この程度の賃金も払えない中小企業は、潰れろ!」
という、アトキンソン方式の「需要拡大なしの最低賃金引き上げ」には断固、反対します。すると、確実に、
「三橋は最低賃金の引き上げに反対している。低所得者層の敵だ」
といったストローマンプロパガンダが展開されることになるでしょう。
あるいは、これまでは「実質賃金なんてどうでもいい」と、安倍政権の貧困化政策から目をそらしてきた連中も、
「中小企業の実質賃金が低すぎる。あいつらは中小企業基本法により保護され、甘えている! 潰せ!」
といったルサンチマン・プロパガンダを一斉に叫びだすことになると思います(これまでのパターンからして)。
上記の「デフレギャップを無視する中小企業対策」「中小企業潰しが目的の最低賃金引き上げ」「ストローマンやルサンチマン・プロパガンダ」を認めてはなりません。
構造改革主義者の連中が使てくるレトリックやプロパガンダは、すでに分かっているわけです。彼らは、過去何十年も同じレトリックを使っている(その点は、財政破綻論者も同様ですが)
先手、先手を取って、
「あの屑どもは、こういうレトリックを使ってくるよ」
といった「言論戦」を展開する必要があると考えるのです。
日本経済の中核である「多様な中小企業」を守るために。
★下記を全文を読んで下さい!