舞台はアメリカ、カリフォルニア州にあるリッチモンド高校。学校の教育レベルは10段階中1、バスケ部の成績は昨シーズン4勝22敗の弱小チーム。地元でスポーツショップを営むカーター(サミュエル・L・ジャクソン)はリッチモンド高校OB、高校全米代表にも選ばれた地元の英雄。その彼にある日リッチモンド高校からコーチのオファーが届く。
オファーを受けたカーターは、まず最初にチームの選手と契約を交わす。1、規準点以上の成績を収めること。2、授業には必ず出席し、一番前の席で受けること。3、試合の日には上着とネクタイをすること。
カーターの厳しい指導によって、チームは瞬く間に成長し、連戦連勝を重ねていく。しかし、バスケの成績とは裏腹に選手は授業にも出ず、成績も上がらない。そこでカーターは契約を守れなかったことを理由に体育館を閉鎖してしまう。これが波紋を呼び、地元では大騒ぎに。チームは崩壊の危機にさらされる。
はい、これだけだと完全によくあるスポーツ映画ですね。
弱小チーム→新コーチ加入→常勝軍団→事件発生→事件解決→ハッピーエンド、という流れ。
ですが、この映画には他のスポーツ映画にはないメッセージ性を感じました。
まず、舞台となっている高校は治安の悪い地域、つまり貧困層の多い地域にあることです。進学率も低く、半分の生徒氏しか卒業ができない→就職難に陥る→お金を得るために麻薬の密売などをする者も出てきて、犯罪者になる者も少なくない。カーターは長年地元でこのような図式を見てきて、それを何とかして変えようとしていた。これはアメリカの貧困層の多い地域が実際に抱えている問題です。
もう一つは、学生スポーツとプロスポーツは違うということです。カーターは試合で勝利することと同じくらい勉強をすることを重要視していました。規準点以上の成績を収めさせることによって、選手に大学進学という希望を持てる選択を与えようとしていたのです。もちろん選手みんながプロにいけるわけもないしスポーツ推薦で大学に行けるわけでもありません。途中で挫折する者も出てきます。就職するとなったときに大切になるのは学歴です。これはアメリカだけでなく、どの国にも言えることではないでしょうか。
単にスポーツのすばらしさを伝えるためだったら、甲子園の中継を見てればわかります。
この映画は現実としてアメリカ社会と学生スポーツの抱えている問題を提起し、学生スポーツのあり方を問い質している作品だと感じました。
僕も、高校までバスケをやっていて、チームは全国大会に出るような強豪校でした。毎日練習に明け暮れ、青春の全てをバスケに捧げてきたといっても大げさではありません。運よく付属校だったのでそのまま大学に進学できましたが、もし付属校でなかったら自分のいた大学には入れなかったと思います。
学生スポーツに携わる人(特に中高の)に、是非見ていただきたいと思う作品でした