誰しも口癖はある。

叶うならば全人類のそれが、他人を不快にさせるものでありませんように。

 

 

大学で同じサークルだったAとは、マンガを貸し借りする仲だった。

一緒に映画を観に行ったり、お互いの推しを引き当てたら無条件でプレゼントしたりもしていた。

学生時代はとても良い関係が築けていたと思う。

 

Aの口癖が「ワケ分からん」に変わるまでは。

 

大学を出てしばらくAとは会っていなかった。

県外に就職していたAが私の地元に転勤してきたというので3年ぶりに会う約束を取り付けた。

 

学生時代のようにファミレスでドリンクバーを頼み、3時間ほど夢中で話した。

仕事・家族・最近ハマっている漫画のこと……。

どれも楽しかったが随所に打たれるAの相槌がほとんど「ワケ分からん」なのが気になった。

 

私「Bちゃんが結婚して、こないだ赤ちゃん生まれたんだって」

A「はぁ!?ワケ分からん。あのBが?」

私「旦那さんすごく良い人っぽいよ~。中古の一戸建て買って、自分たちでちょっとずつリフォームしてるんだって(画像を見せる))」

A「へーワケ分からん。めっちゃ綺麗じゃん」

私「今ハマってるジャンルが今度アニメ化するんだよね」

A「ワケ分からん。声優は?」

私「コーヒーなくなったから取ってくるね」

A「ワケ分からん。私も行く」

 

 

……なんか疲れる。

 

多分Aは「ワケ分からん」を「すごいね!」や「良かったね!」などと同じ意味として使っている。
決して「お前が言っていることは意味が分からない」という意味で使っている訳ではないことは分かる。

 

が、どうしても私にはネガティブな方に聞こえてしまった。

どんな話をしても「ワケ分からん」が返ってくると思うと意欲が萎える。

 

大学生の彼女は何にでも明るく「やるね!」と返すのが口癖だった。

私が失敗した話をしても「やるねぇ」と言って笑わせてくれたのを覚えている。

 

どうしてこうなったのだろう。ワケ分

 

Aの口癖について、他の友人たちは「気にならない派」と「ちょっと不愉快派」に分かれ、後者はAとは疎遠になったらしい。

 

自分の口癖は何だろう、他人にどう思われるだろうと考えさせられた出来事であった。