はじめに
韓国が日本の債券市場で
円建てで国債を発行するらしいですね(現在はもうしているのかも)
外国の企業や国が日本国内(日本の債券市場=日本人に買ってもらいたい)で発行する円建ての債券をサムライ債というらしいです
ただサムライ債を発行するのは
韓国に限らず発行しています
発展途上国でもなく、現状外貨不足というわけでもない韓国が
なぜ円建てで国債を発行するのか私も興味を持ったので
私なりに考察したいと思います(動画とは関係なく私の独自考察です)
その前に、過去の韓国の破綻について
知らない人の為に説明します
少々長いですがお付き合い下さい ![]()
(告白!?
)
外貨建て国債のリスク
韓国は自国通貨建てで、現在は変動相場制なので
「ウォン建ての国債が」破綻するリスクはありません
しかし韓国は一度破綻した事があるじゃないか!
という意見をよく耳にします
アジア通貨危機の時ですね
あの時は固定相場制だったからです
なのでアジア通貨危機の時は韓国以外の国も破綻していますが
全部固定相場制の国でした
固定相場制は為替介入を常にしているという状態なので
貿易赤字等が続いて
外貨準備が不足した場合、レートを維持できなくなるわけです
そしてそれを見越して売りを仕掛けるヘッジファンドがいるわけです
介入資金の限界(外貨は発行できないから)が分かるので
資金さえあれば勝てるというわけですね
イギリスもユーロ統合の為に
ポンドをユーロと固定していた隙をヘッジファンドに狙われたわけで同じ理屈です
レートが固定だと国債を外資に買われた場合ですが
経常収支は赤字に傾くわけで
外貨建て国債でなくても
介入の為に必要な外貨が増えるわけです
だからIMFの介入を許したわけですね
韓国通貨危機の時
韓国通貨危機の時(世界金融危機=所謂リーマンショックの時ですね)では
破綻していません
しかし当時の韓国は貿易赤字、経常赤字に加えて外貨不足であったため
そこを狙われて通貨安に陥ったわけです
結局日本にドルを担保してもらうことで難を脱した事があります(日韓スワップ協定)もしかしたら破綻とはこの事を指しているかもしれませんね
この場合はウォン安を受容すれば良いだけなので破綻はあり得ません
困るといえば困るんですが
変動相場制なのでレートが下がるだけです
つまり国債そのものは通貨発行で返すが
負債が超過すればレートが下がる(外国の債権者は困るが国内の債権者は困らない)
だから国債の破綻とは別の問題(輸入依存の話)なのです
二度の通貨危機の結果
しかし二度の危機の結果として
韓国は外貨を獲得する(輸出力強化)方針へ舵を切り
今では体質も変り、外貨に関しては(利子配当だけで食っていける日本ほどでないにしても)かなり余裕がある状態です
実際に韓国は市場規模が小さくて内需だけで回すのには向いていない国なので
方向性は正しかったと言えるでしょう
一方で日本以上に過酷な競争を強いられたために
日本以上の少子化の進行速度、日本以上の自殺率と
国民にとってはかなり過酷な社会になりました
IMFの救済と言えば聞こえがいいが
強制的に国内産業の大株主は外資に、多くの国営事業は民営化させられてやはり外資に買われ、規制や関税を取っ払われたり(市場開放)と
良いように食い物にされてしまったわけです
日本でも似たようなことが行われていますよね(日本は破綻してもいないのに…)
農協叩きとかは記憶に新しいと思います
誰が得をするの?ってところまで考えて欲しいものです
今回の場合は?(本題)
今回は特に外貨不足に陥っているわけでもないですし
貿易黒字でもあります
ではなぜ外貨建てなのか?というと
為替ヘッジのコストを差し引いた上でも
日本の方が金利が安いからです
それに本当に外貨が必要であるならばドル建てで調達するでしょうからね
それだけ韓国の債券市場が小さいことと
韓国が積極的に財政出動しているってことですね
これが企業の場合だと色々な理由が考えられますが
政府が国債を発行する理由は財政出動しかないからです(予算編成=国債発行)
至ってシンプルですがそれ以外ないと思われます
日本側のメリットは?
日本側のメリットは
貴重な円の回収装置として働くってことです
近年の日本は経常黒字は毎年過去最高を更新し続けているものの
その黒字が国内に回収されずに海外に再投資されている問題がありますからね
円で貸しているので元本や利子は必ず円で受け取るわけです
要は韓国が稼いだ外貨を
円に変えて日本国内に吐き出してくれるわけですね
※債権自体はヘッジがあるので為替の影響を受けませんが、それによって為替が影響を受けることもあります。
しかも日本国内に投資したいわけでもないだろうから
国内のインフレには影響がないでしょう(プラスにもマイナスにもならない)
もう一つは金融機関の投資先ですね
銀行とか保険会社は安定的に運用したいわけですから
できれば債権で運用したいわけです
できれば円で貸したい、しかも自己資本規制の緩い国債が良い
しかし日本国債は人気があり過ぎて金利が低い
そんな日本の金融機関にとっては
韓国の国債は魅力的なのです(預金金利にとってもプラス)
要は韓国政府の外貨準備と
韓国企業の輸出力が担保になるってことですからね
しかも円建てなので為替リスクがないし
日本国債には流動性が劣りますが、日本市場で換金も可能です
銀行とか保険会社にとっては
それだけ美味しい金融商品です
余談です
自国通貨建ての国債で、変動相場制の国は財政破綻しない
という話をすると
韓国やイギリスの話を持ち出す人がいます
でも破綻したのは固定相場の時又は破綻したわけではない場合なんですよね
また、ロシアの破綻の時は外貨建てで国債を発行したのが原因です
あと発展途上国の場合は、そもそも政府が機能していない場合があります
通貨が上手く機能していない=事実上外貨で回っているという場合は
そもそも破綻する以前の話ですよね
韓国にかこつけて色々と説明してみました