賛否の嵐を巻き起こしている
ミュージカル映画《キャッツ》



はじめに。私は、ミュージカル女優を夢みる少女だった頃、劇団四季のサウンドトラックをヘビーローテーションし、ブロードウェイのビデオを擦り切れるほど鑑賞し、果てには劇団東俳版の舞台にも出演したほどのキャッツ信者である。だからどうしても贔屓目に見てしまうのだけれど…


(↑下段、右から2番目。お茶目な泥棒猫・ランペルティーザ役。13歳。)

まず言えることは。これらの名曲を持ってして、どう頑張ったって駄作なんてできないということ…!『ジェリクルソング』に始まり『スキンブルシャンクス』『マジカルミスターミストフェリーズ』そして『メモリー』、ミュージカルを観たことがない方でも、一度は耳にしたことのある曲が多いだろう。ほかにも『ラムタムタガー』や『マキャヴィティ』『グリザベラ』など、軽快だったりセクシーだったり、おどろおどろしかったり、バラエティーに富んだ楽曲に合わせ猫が次々と自己紹介(もしくは他己紹介)してくれる。そうして気付くと、すっかり猫の世界に魅せられている…というのが《キャッツ》の真骨頂だ。



物語だけ聞くと単純にも思えるこの作品を彩るのが、歌と、ダンス。白猫・ヴィクトリアの華麗なバレエシーンに、映画ではテイラースウィフトが演じたボンバルリーナのガールズヒップホップ、鉄道猫・スキンブルシャンクスのタップダンス、そしてラストソング『猫からのごあいさつ』の大熱唱…どれかひとつでも欠けてしまったら、それはもう《キャッツ》ではないくらい、すべてが見せ場なのだっ。



そんな、長年舞台で愛されてきたこの作品の持ち味が、映画でもしっかりと踏襲されていたことが、私はとてもうれしかった。(「♫猫は求めるのだ、唯一のその名を〜♫」からの『ジェリクルソング』で始まるエンドロールは、ファン歓喜!)



きっと出演者も制作者も、このミュージカルが大好きなのだろう。あくまでもオリジナル(舞台)に忠実に描きつつ、映像ならではカラクリもたくさんあって、「次は何を見せてくれるの?」「どんな猫が登場するの?」と、ワクワクが止まらなかったよー。猫の世界、と言いながら、案外 社会の縮図を描いてるんだ、ということは、大人になった今だからこそわかる面白味。演者側だったあの頃それを理解していたら、向き合い方もちがったのかなぁ。なんて、スクリーンを観ながらぼんやり思ったり。(無論、13歳の中学生に社会の縮図なんて想像しようもなかったのだが。)



と、自身の経験も重なってどうしても肩入れした感想になってしまうのだけれど、それくらい、《キャッツ》に影響を受けて育った私には、これが《キャッツ》を愛する人たちがつくった作品にちがいない事がよくわかった。舞台版を知らない方にこの映画がどう映るのかは未知数だけれど。賛否の〝否〟側だった方には、このYouTuberさんの解説をオススメする↓



そう。キャッツに意味やメッセージ性なんてない。あれは、崇高なショウなのだー!ゆいいーつーのーそーのーーー名ーをーーー!!!