今井いおり監督作《調査屋マオさんの恋文》を観てきた!



今井いおり監督は、ジェイコムの街ぶら番組《ジェイコムアワー街ネタ天国》時代にお世話になっていたディレクターさんだったので、ジェイコムアワーで共演させていただいていたボイスタレント兼 占い師・大石瑛子先生と一緒に伺ったのだが。冒頭、〝マオさん〟による認知症の奥さまの記録書が出てきたところで、早くも鼻にツンときた。

先だって大石先生が Facebook で公開されていた、大石先生のご両親の関係によく似ていたからだ。

奥さまと向き合う〝マオさん〟の姿勢は、まだ伴侶のいない私には察するに余りある途方もない愛情深さで、いや、愛情、みたいに抽象的なものですらない、なんていうかもっと、信念、とか、根性、のような、確固たるものが感じられて、圧倒されたっ。

一方、撮りようによってはいくらでもドラマチックに演出できるあろう〝マオさん〟の奮闘記を、淡々と写しているあたり「あぁ、今井さんの映画だー!」って懐かしくなったり。肯定するでもなければ否定するでもなく、啓発するでもない、ただただ傍観しているあの感じ。まさしく〝今井さん〟だった!

季節の花々や草木、農作物の移り変わりで時間の流れを感じさせてくれるところも、好きだったなぁ。



そうそう。
この日は同じ十三のミニシアターでもう一本観たの。



女優・萩原みのり(あえて敬称略)が、とにかく美しかった。「女は愛嬌」を覆された。不機嫌でも苛立っていても、どうしたって可憐に写ってしまう。少女と女性の狭間にいる頃にだけ醸し出せる、特有のなまめかしさまであって。もう、ほんとうに、完璧なまでの可愛さだった。

ただ、ここからは、先日観た《テルマ&ルイーズ》の感想と類似するのだけれど

可愛くなければ見なくて済んだ人間の汚い部分が、〝可愛い〟が故に見えてしまう。劇中で「美人は生涯年収3,000万」なんて会話があるけれど、果たして本当にそうだろうか。その代償に、苦悩や危険もあるのではなかろうか。

私は、百歩譲っても「美人」とは言えない人生を送っているが、物語の中でふたつ、既視体験があった。ひとつは、遊びに誘われたからノッただけなのに、交際の申し出をお断りすると「××××!」と罵倒されたこと。もうひとつは、あまりに辛く当たってくるのでてっきりキラわれているものと思っていた相手から告白されたこと。これには震えるほど腹が立った。その頃、私はその人から受けた辛辣な言葉に悩み、食事はノドを通らず夜も眠れない日々が続いていたからだ。なのに、なのに。この人は、のこのこと私を好きで居たなんて。私からマウントを取って気持ち良くなっていたなんて。許せない。勝手に好きになってんじゃねーよ。ふざけんな。私に謝れ…!と、心の中で何度も制裁を加えたものだ。まぁ、30代にもなると(←なったばかりのくせに急にエラそー。笑)、すっかり無縁の話だが。まだまだ若くて可愛いみのりちゃんには、もうしばらく試練が待ち受けているかもしれないな。なんか、いろいろ思い出して、いっしょに憤っちゃった。大人の方がずっと生きやすい。〝お嬢ちゃん〟なんて、二度と御免だわ。