ラグビーワールドカップ
楽しんでるかーいっ?


私は!熱戦を観ているといてもたってもいられなくなって!神戸のスコットランド対サモア戦でビールの売り子をしてきたよ〜!


…とその前に。ひとつわかったことがある。なぜ球場の売り子が20代に限られているのか。


これ、アラサーには無理!

体がついていかん…!

覚悟はしていたものの、缶ビール30本(サーバーではなく、缶ビールをプラカップに移して提供する業務だった)を背負って階段を駆け上がるのは、思った以上の重労働。常時息切れ。常時汗だく。ふとまわりを見ると、涼しい顔をしてビールをついでいる可愛い子ちゃん達。こういうセリフ、本当は言いたくないけど…みんな若いな…。アラサールンバ、この肩の凝りは、3日かかっても取れないと思われる。

それでも老体(←売り子的に。明らかに私が最年長だった)にムチ打って頑張れたのは、お客さまの笑顔があったから。中でも
  「きのせひかるちゃんだー!」
と、予想以上にたくさんの方からお声がけいただき、(私の場合、顔ではなく「ビールいかがですか〜」の声で気付かれる) (そして後には必ず「こんなところで何してんのん?!」と続く。笑)、ジェイコムのラグビー番組《熱血!トライあんぐる》が、ちゃんとラグビーファンに認めてもらえているのだとわかり、うれしくなった。これについては、早速ラグビージャーナリスト・村上晃一さんに報告するとしよう。

肝心の試合は、もちろん観られるはずもなく。だけれど、会場の空気は存分に味わえた。ここで私は、大きな誤解をしていた事に気付く。それは、「ファンゾーンでも、ワールドカップの熱気はそれなりに感じられるでしょ♪」と高を括っていた事だ。ちがった。ぜんぜんちがっていた。今までに見た事のない景色だった。何より驚いたのは、外国人(おもにスコットランド)の、応援の仕方。ラグビーは紳士なスポーツなので、はしゃいだり取り乱したりしない。…なんてのはとんだ思い違いで、みんな立ち上がるわ、歌い出すわ、「それ、よく空港 通れたな!」とツッコミたくなる風変わりな楽器を奏で出すわ、阪神タイガースもビックリの応援だった。試合が終わったあとも尚 宴は続き、みんなで肩を組み、何度も何度も『スコットランドの花』を熱唱していた。日本人ならまず考えられないだろう、ノリノリで『君が代』を歌うなんて。ご陽気な国歌でうらやましい。



それでも興奮冷めやらないスコットランド御一行は、帰りの地下鉄でも大熱唱。車内には引き続き『スコットランドの花』と踊り、歓声が響き渡っていた。これは目を奪われる光景だったなー。会場を出るのが遅くなって良かった。いいものを見せてもらった。みんな全力で日本を、ラグビーを、ワールドカップを楽しんでいて、私も生まれ変わったらスコットランド人になりたいと願ったほどだ。


一方で、少し残念な気持ちになったのは、日本人サポーターの対応。会場で座席がわからず右往左往する外国人に「ジャマじゃイングリッシュ野郎!」と怒鳴りつけたのも、私たち売り子に「うるさいねん、どうせ売れへんねんから黙れ!」とヤジを飛ばしたのも、日本人だった。もちろん、これはほんの一部の人で、心優しい人の方が圧倒的に多いと理解してはいるけれど、悪い出来事ほど記憶に残ってしまう。海外の人達は、私がうっかりビールバッグで通路を塞いでしまっていた時も、じっと待って「ノープロブレム☆」と笑顔を見せてくださったというのに。これではホスト国として面目がない。どうか海外の人達には、日本に良い印象を持って帰っていただきたい。なにより、自分の国にワールドカップが来るなんてこんなに幸せな事はないのだから、もっとハッピーに楽しもうぜ、日本人!

おっと、せっかくの〝4年に一度ではない、一生に一度〟の経験が、後味悪く締めくくられるのは不本意だ。ということで最後はみんなでセイッ!



10月13日こそは一緒に歌うぞ〜♫

【追記】
翌朝、ハンパじゃない全身筋肉痛に襲われている…