ライブを重ねる毎にハルレオ解散しないでーって思うんだけど、こんな関係になったらもうおしまいだってこともわかってしまうくらい、私自身 数々の別れを経てきていた。人生の節目にあった消化試合…高3の三学期とか、打ち切りが決まっている番組の収録とか、破局を迎えた恋人の家に置いてある荷物を引き取りに行く日曜日とか、そういう、言いたいことはいっぱいあるはずなのに何ひとつ言葉にできず笑って手を振るしかなかった時間を思い出して、胸が締め付けられた。



こちらは知人と観たので、感想はいかにも軽妙に語り合い手を振ったのだが、離れたあと、じつはまた泣いた。彼には悪いが、ひとりで観るべきだったのかもしれない。ひとりで観て、かつての仲間から、同志から、恋人から愛されて幸せだったあの頃の私に、改めてちゃんと別れを告げるべきだった。『さよならくちびる』は、そういうダレかとの未来を、その未来を夢みて居た自分自身を手放す歌だと思えた。




なんて、感想を書くはずがつい自分語りをしたくなってしまうような、古傷が痛むロードムービーだったよ。きっと音楽ってそういうもの。聴き手が己を投影するための余白を、そっと与えてくれる。この作品は、限りなく〝音楽〟に近い〝映画〟だった。


自身の過去を振り返ると同時に、音楽番組のパーソナリティーを担当させてもらっていたときに出逢った、あのバンドこのバンドの顔も脳裏に浮かんだ。なんでだろうね。結成当初のトキメキやめくるめく日々は、昨日のことのように思い出せるのに。私たちは永遠だ と信じてやまなかったのに。気付いた頃には埋められない溝ができていたね。ふたりが最後に口ずさむのがこの曲↓だから、また切ない。