童話 「フランダースの犬」 の主人公ネロはルーベンスが描いた祭壇画を見ることを切望するのだけれど、それには高額の観覧料が必要で、貧乏なネロは見ることができない。そして物語のラストでネロは祭壇画の前で愛犬パトラッシュとともに絶命してしまうのだ。

 

だから僕は ルーベンス、と聞くとフランダースの犬を思い出す。
 


僕は子ども心に「子どもに絵を見せてあげるくらい無料でいいなじゃないか。」と、ずいぶん理不尽なストーリーであるように感じたものだ。見るだけなのだろう。減るもんじゃなし。

↓物語に登場する ルーベンスの描いた祭壇画 は↓これ↓なのだそうである。

 

もちろん、それは子どもの考えなのだと今になれば思う。世の中に無料のものなんて何一つござりゃぁせん。産科でおぎゃぁと産まれてきたときにくるんでもらうバスタオルから、亡くなって火葬場で灯してもらうロウソク1本、お線香1本にいたるまで どこかの誰かがお金を払っている。

 

 

 

中学生のときに京都へ修学旅行へ行き、グループ別の自由行動になった。あらかじめ提出したプランで周り、あとでレポートを書かなければならなかったのだが、お寺に入るときに払う拝観料が中学生の僕らとしてはどエラく高いように感じられた。お金がもったいなくてしょうがないと思った。

そこで、グループの仲間と結託して、予定していた場所のうち2件をスルーすることにした。 浮いたお金で四条河原町へでも行って 美味いものを食おうというわけだ。レポートのほうは適当にでっち上げ書けばいいじゃぁないかと。

 

 

 

その策謀は 何の問題もなく成功したのだけれど、10年後、社会人になった僕は 中学の修学旅行で竜安寺の石庭や桂離宮を見なかったことを心底 惜しんだ。ある時、たまたま京都へ出張があったついでに、バスを乗り継ぎ、拝観料をよろこんで払い、初めて竜安寺の石庭を見たときにはその静かな世界に心から感動したものだ。

 

 

 

…えげつなく金の話ばかりになっているが、

ちなみに 国立西洋美術館の常設展は

一般  500円
大学生 250円
高校生以下無料

で見ることができる。高校生以下無料である。フランダースの犬のネロに教えてあげたいものである。


この記事の画像は 上から順に
 

①②ペーテル・パウル・ルーベンス Peter Paul Rubens(1577~1640)
眠る二人の子供(1枚め: 資料画像 2枚め:展示現物)

 

 

③ペーテル・パウル・ルーベンス Peter Paul Rubens(1577~1640)
キリスト昇架 (この画像のみ インターネット上のパブリックドメイン画像)

アントウェルペン聖母大聖堂 (ベルギー)

 


④ペーテル・パウル・ルーベンス Peter Paul Rubens(1577~1640)
豊穣


⑤クロード・ロラン Claude Lorrain(1604~1682)
踊るサテュロスとニンフのいる風景


⑥ジャン=オノレ・フラゴナール Jean-Honoré Fragonard(1732~1806)
丘を下る羊の群

 

「キリスト昇架」以外は 国立西洋美術館常設展示から

 

 

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