日本人の条件を「日本国の国籍を有する者」とすれば身も蓋もない話で、もっと他の事を考えようという訳であるが、他の事が難しい。一番に考えられるのは「日本語の読み書きが出来て会話が出来る者」というのがあるが、以外に該当しない日本国民が多いのである。目や耳が不自由だと「読み書き話すことが出来ない人」が多いのである。日本で生まれたというのは考えられるが、それだと日本国籍を取るために日本で産む人が増えるのではなかろうか。日本も多くの移民が国外に出ていた時代があった。中南米やハワイなどに移住したのである。簡単に言えば生活が苦しかったからである。朝鮮半島や満洲にも移住した。数は多くないが台湾や南洋諸島にも移住した。どちらかと言うと開発と言うか開拓と言うか、そんな意識ではなかったろうか。大東亜戦争での占領地では日本語教育を行ったので、一時期は日本語を理解する人がかなりの数に上ったのである。

 政治と宗教が分離すべきという考えがあるが、そもそもその考えが間違っている。「まつりごと」という日本語に漢字は「政治」と「祭事」を充てる。祭政一致が当たり前だったのである。ヨーロッパでは教会の力を削ぐために、国王らが「政教分離」を言い出したのである。日本では権威と権力の二重構造にしたのである。日本は二重構造が多いのである。武家の武力を背景にした支配も天皇を中心とした公卿勢力を排除することは出来なかった。「神仏混合」で神道と仏教が併存するのが望ましかったのであろう。

 敗戦のショックがあったからであろう。外国の言うことを鵜吞み込みにする時期があったようである。明治初年西洋の文物に吞み込まれそうになりながら「和魂洋才」と称して「大和魂」は失ってはならないとしたが、敗戦後の日本はアメリカや共産勢力に魂を売ってしまったような状況になったようである。やはり敗戦は国家の一大事である。

 GHQの内部には容共勢力と言うか、共産主義思想にシンパシーを感じている人々もいたようである。社会党や共産党が主権を回復し筈なのに「護憲勢力」となって「日本国憲法」を守ろうとした。そしていつの間にか「改憲」と言うと「憲法9条」を改正することになってしまった。日本国の主権回復を願うのであれば、全面改正が当然なのに、改憲論議は全く話題にならない。中学生の私でも、「大日本帝国憲法」と「日本国憲法」を比較して、「日本国憲法」が可笑しいと感じたのに、大の大人が改憲論議をしないのが不思議でならなかった。いわゆる「大人の事情」と言うのがあるのかもしれないが、あまりにも放置し過ぎである。

 私は「民主主義政治」が最善だとは考えていない。次善になるためにもかなりの障壁を乗り越えないといけないと考えている。「直接民主主義」は崩壊したと言っているが、奴隷には選挙権は与えていない。まあ人間とは考えていなかったのであろう。現在は多くの国で「間接民主主義政治」を行っている。上手くいっている国は現在では皆無になっているようだ。21世紀の内に「民主主義は破綻した」と言って、極右勢力か極左勢力かは知らないが、「民主主義政治」を否定する方向に世界は動くのではないだろうか。移民の多い国では「選挙権」を与えない方向に動くと思う。ヨーロッパの白人たちが自分たちと同じような権利を有色人種や黒人を中心とした移民に同等の権利を与えるとは思えない。豊かで十分に余裕がある時は自由にさせても、自分たちにも王侯貴族のような生活をさせろと言えば、許してはおかないであろう。

 私は日本はやはり「立憲君主制」が似合っていると思う。明治憲法は騒動が起きないように「天皇」の権利を最大限にしてしまった。その方が統治しやすいと思ったのであろう。GHQも「昭和天皇」を思い切り利用した。そして三代と続かないような「皇室典範」を押し付けたのである。明治政府は「士農工商」の四民平等を実施した。19世紀に入ってからかなり形骸化していたとはいえ、よくやったものである。身分の代わりに学歴を持ち出したのは、今となってはどうだったかと思うが、貧乏人でも一生懸命勉強して、大学や陸士や海兵に入れば逆転できるとなったのは、国家を活性化するのには役に立ったようである。

 何でも「いいとこどり」をすれば、思わぬ不都合が生じるものである。むしろ不都合に対処する事の方が大切ではなかろうか。健康番組を見ていると、こうすれば生活習慣病や糖尿病を予防することが出来ますという。もう生活習慣病にも糖尿病にもかかっているとTVに向かって言っている。

 アメリカの恫喝に負けて不平等条約を結んでしまい、「不平等条約改正」に邁進して国力を上げていったが、世界の帝国主義に巻き込まれてしまい、白人から危険視されて、とうとう世界大戦に巻き込まれていった。私は時々妄想する。1850年から日本がやり直すとしたら、どうすればよかったのか。「尊皇攘夷」は是か非か。「開国」は是か非か。「尊王討幕」は是か非か。そのあたりから始めるべきかもしれない。