ABEMAトーナメント2024は予選の真っ最中である。「地域対抗戦」も面白かったが相変わらずABEMAトーナメントの方も面白い。今期はタイトル保持者が藤井八冠の一人だけなので、後は前期のA級10人がリーダーになって、11人のリーダープラス勝ち抜いた3名によるエントリーチームの12チームになった。3チームが1組になり、予選を行う。1位と2位が予選通過である。今期は本戦出場は8チームになるので、本戦は各グループの1位と2位が初戦で当たるのであろう。棋士の関心も大きいものがあるようで、先日の「将棋フォーカス」でゲストの増田康宏八段が、来期はリーダーになれると喜んでいた。今期は新A級の二人はドラフトで選ばれているが、新しくリーダーになったのは昨年の新A級の佐々木勇気八段と中村太地八段である。陥落した二人はリーダーのままである。これはリーダー選出が順位戦終了前によるものであろう。しかしリーダーによる着物撮影の様子が、最初と最後に流されるが、いわゆるイケメン棋士が増えたなあと思う。世間の相場よりも甘めのイケメン棋士が多かったが、今では世間の相場でもイケメン認定されるであろう棋士が増えた。考えてみれば東西のプリンス棋士がA級昇級を果たしたのが大きいのかな。佐々木勇気八段は元からのイケメン棋士だし、甘めに見積もっても半数以上はイケメン棋士と言ってもいいのではなかろうか。失礼になってはいけないので、名前は挙げないが。

 土曜日の夜19時からの放送なので、最後まで見れないで途中で寝落ちすることが多かったが、昨夜は1局目で寝落ちしてしまい6局目で目が覚めた。藤井竜王名人対山本博志五段戦があっていた。見るとチーム藤井が4勝1敗である。勝利を決めに出て来たなと思った。ところがよく見ると藤井竜王名人が不利である。フィッシャールールは終盤での逆転が多いので、おそらく逆転勝利を収めるのであろうと思って見ていたら、なんと山本五段が勝ってしまった。山本五段は羽生善治九段にも勝っていた。チーム天彦の勝利はすべて山本五段の勝利である。これでチーム藤井は4勝2敗になった。7局目は青嶋未来六段の登場である。天彦チームはリーダーの佐藤天彦九段である。山本五段の孤軍奮闘という感じなので、自分で勝たないとという責任感みたいなものもあったのであろう。勝敗の流れはわからないので、青嶋六段もここで決めないと変なことになると思うので、と語っていた。

 7局目は大激戦であった。序盤の青嶋六段の手順前後というか、方針の迷いが出て、天彦九段の有利な展開になった。穴熊に組めなくなった青嶋六段は緊急対策で米長玉に組んだが、天彦九段の猛攻撃を受ける。評価値は天彦九段の勝勢を示しているが、青島六段は上手に粘って、手を抜いたりして詰めろをかけた。天彦九段が王手ラッシュをかける。しかし評価値はなかなか99%にならない。控室の藤井竜王名人と羽生九段の反応も面白かった。合い駒選択を誤れば詰まされる状況が続いているが、見事に青嶋六段は逃げ切った。次に天彦九段の受け、青嶋六段の寄せになった。即詰みはないようなので、どのような形で手を渡すかになったが角を渡しても自玉に詰みはないを読み切って、詰めろをかけた。評価値も99%を記録した。控室も凄い対局だったねと言うばかりだった。天彦九段の投了、チーム藤井の勝利が決定した。予選Cリーグはチーム藤井の1位通過が決定した。チーム天彦対チーム豊島の勝者が2位通過になる。

 フィッシャールールは将棋が荒くなるというので、一部には批判もあったが、棋士の方が適応して、フィッシャールール用の戦法みたいなものが出て来たようだ。穴熊戦法も一時非難されたが、今では真っ当な戦法になった。居玉もそれなりに評価されるようになった。米長玉も評価されたが組めるならば穴熊の方が良いとされて、最初から米長玉に組む棋士はいなくなったが、今回のような青嶋六段の指し方は参考になるだろう。フィッシャールールによる個人戦は藤井竜王名人の2連勝で、団体戦に移行した。団体戦は棋士にとっては面白かったのであろう。むしろ棋士間で大好評になったのではなかろうか。ドラフトも最初のころは選択基準に迷いがあったようだが、今では勝ちに行くドラフトになった。永瀬拓矢九段の選択が当然視されるようになった。「そんなに勝ちたいか」という声は無くなったのではないだろうか。棋士ならば勝ちを目指すのは当然である。

 伊藤匠新叡王誕生で、ABEMAの単独インタビューがあった。そこで伊藤叡王がABEMAトーナメントでリーダーになれる喜びを語っていた。ABEMAトーナメントで伊藤叡王を最初にドラフトで選んだのは、確か藤井竜王名人だったように記憶している。服部慎一郎六段を取ろうとして失敗して、高見泰地七段を選んで優勝している。ABEMAの解説は増田康宏八段でそれを聞いて慌てていた。A級10位なので、伊藤叡王がリーダーになれば、現行のルールであればリーダーからはじき出される。当初は15チームだったが今は12チームである。やはりリーダーになりたいのであろう。どちらも優勝経験者である。