棋聖戦第2局は新潟「高志の宿 髙島屋」で開催された。藤井棋聖が先手で、挑戦者の山崎隆之八段の工夫でほぼ互角で進行していた。45手目の藤井棋聖が3五角で、評価値が60%台に乗った。残り時間は40分以上多く山崎八段が残していたが、そこからは久しぶりのきれいな藤井曲線になった。意外に思った手も想定内なのか、淡々と対応していく。この落ち着きが対伊藤匠七段戦でもほしい。両取りをかけた4七銀に対して67手目だったかな5五桂が出色であった。飛車を渡しても、これで1手勝ちを読み切っているのが凄い。この桂打ちがあるから5六金と進出することが出来たのである。解説陣がいろいろ検討するが、どれも藤井棋聖の方が有利ということになるが、どれも1手差という感じである。どこか読み抜けが有ったら、形勢逆転である。山崎八段は24分考えて3八銀不成とした。おそらく自分が不利になる別れしかないけど、その中でも紛れそうな変化を見つけようとしたのであろう。79手目かな藤井棋聖は8二角と打ったが、詰み有りとは見ていなかったのである。山崎八段は詰めろをかけてくる。藤井棋聖に詰みはないようだ。解説もどうするんですかねと言う。90%と言っても見かけは1手差で、むしろ山崎八段が逆転したかと思われる場面であった。解説もようやく途中で手を戻して受けるのでしょうねと言い始める。下手すると千日手になる恐れも出て来たと言う。山崎八段は自玉に王手ではない時は、藤井玉に詰めろをかけ続ける。評価値は97%や98%は示すが99%にはならない。つまり詰みはないことを示している。しかし藤井棋聖は時間をだいぶ残しているが、それほど長考するでもなく静かに指し続ける。相手の手によって、詰ましに行くか、受けるかを決めているようですねと解説の声が聞こえてくる。3三桂の王手で1二玉と逃げれば詰みはないが、おそらく7九金と催促するのだろうと。山崎八段は3三同金と取った。詰まされることはわかっていたと思うが、逃げずに首を差し出した。即詰み有りと言ってもAIが示しているだけで、自分の読みに絶対的な自信がないと指せない。結局綺麗な詰め将棋を最後は見せてくれた。まだ藤井棋聖は20分以上残していた。山崎八段は68手目の3八銀不成で残り時間7分になっていた。藤井棋聖は1時間ほど残していた。藤井棋聖は終始落ち着いた指しまわしであった。

 局後の感想では山崎八段は3五歩を許した展開にしてしまったことを反省していた。敗着というにはあまりにも切ないものである。しかしそれからは綺麗な藤井曲線を描いたのだから、もっと早く自玉に手を入れておけば良かったという反省は、後悔の言葉にしか聞こえなかった。序盤では解説では藤井棋聖がどのようにして打開していくのだろうかと言っていた。山崎陣はやや立ち遅れの感があった。まだ整備に3,4手かかるのではないかと見られていたが、4五桂と跳ねだしていった。この手そのものは別に悪くはなかったのであろうが、藤井棋聖に3筋4筋から攻めていこうという気持ちにさせてしまったようである。桂交換後の5七銀は4六歩を予想させたが、更に勢いづける3五歩であった。勝負あったにするには早すぎるが、その後はきちんとした読みに裏付けられた見事な指しまわしであった。これで2連勝である。永世棋聖まであと1勝になった。

 21歳の内に永世棋聖誕生となるであろうが、心配なのは叡王戦である。20日に最終戦があるが、対伊藤匠七段戦では妙なことが起こる。やはり他の棋士より意識しているような様子が見える。上野四段との新人王記念対局でも、どうも意識しているように見えた。若くして自分より年下で出て来た棋士には注目しているようだ。ABEMAトーナメントでも最初にドラフトで指名したのは伊藤匠七段と服部慎一郎六段であった。まだ四段時分であったが注目していたのであろう。

 この日は5時からドジャース対ロイヤルズ戦があった。ホームランは出ないは打率は下げるは、得点圏打率は良くならないはで、心配な6月になっていたが、ソロホームランだったが18号19号と2打席連続ホームランを打った。フリーマンとの連続ホームランも良かったが、ベッツの死球は心配である。運動神経の良いベッツでもあんな死球を受けてしまう。やはり勝負事は何が起きるかわからない。大谷選手も牽制球を受けて、調子を落としてしまったからな。しかし水原元通訳事件があったにもかかわらず、よくやっている。埼玉の友人は「大谷のメンタルはすごい」と感嘆していた。藤井聡太八冠はどうであろうか。インタビューでも聞かれていたな。初めてのカド番を迎えての最終局、どんなメンタルで臨むのだろうか。