昨日ABEMA地域対抗戦の決勝戦があった。中部チーム対関東Bチームの決勝戦であった。全体で6地域8チームに分かれての対抗戦で、2つのグループに分かれて予選を行った。中部と関東Bは同じグループになったが、総当たりではなく変則トーナメントというのか、2勝勝ち残り、2敗失格のシステムで初戦で中部は勝ち、関東Bは九州に敗れたため、予選での対戦はなかった。中部チームはこれまで3戦全勝で、関東Bチームは3勝1敗であった。中部チームはほぼ一人で勝ち上がり、関東Bチームは総力戦で勝ち上がった感じである。関東Bチームは9局まで戦ったのが3度もあるチームである。現在のA級棋士が3名もいて、タイトル戦で3度出場の伊藤匠七段もいる。それにフィッシャールールでの対局で藤井竜王名人に対して2勝上げている森内俊之九段もいる。50代棋士でも受けの強い棋士は、フィッシャールールにおいては高勝率を残しているらしい。十八世名人の有資格者である森内俊之九段はA級陥落の際、フリークラス入りを宣言されたが、今でも昔より強くなったんじゃないかと噂されている棋士である。

 対して中部チームは藤井竜王名人に、豊島将之九段、八代弥七段に服部慎一郎六段である。豊島九段は現在名人戦挑戦中である。八代七段は藤井竜王名人が登場する前だったら、当然年間最高勝率賞を受賞したであろう、7割8分を上げている。月末近くに負けなかったら勝率8割を達成できた。佐々木大地七段同様地味に凄い棋士である。地味と言ったのはまだC級2組在籍だからである。朝日杯でも優勝したし、竜王戦では1組在籍2期あるし、25歳で七段昇段を果たしたし、結構輝かしい棋歴ではあるが、やはり順位戦での昇級がないと今一つである印象は否めない。佐々木大地七段はタイトル挑戦で有名になったと思う。朝日杯は新人王戦などと違って全棋士参加の棋戦である。しかし翌年優勝したのが藤井竜王名人だったので、インパクトがかき消された感じであった。

 服部慎一郎六段はまだ六段なのかという印象である。藤井竜王名人が四段昇段した後で、インパクトのあった新棋士は、年上ではあったが服部慎一郎四段であったろう。その後は同年の伊藤匠七段、そして年下の藤本渚五段であろうか。今回伊藤匠七段と同時にB級2組昇級果たしたのだが、全勝昇級だったのだが8勝2敗昇級の伊藤匠七段の方が話題になったようだ。前期竜王戦では5組決勝で伊藤匠七段に敗れたのは服部慎一郎六段であった。今期は4組ではあるが、伊藤匠七段は挑戦者になったので1組昇級の飛び級である。正直言って前期の5組決勝戦での勝者予想では服部六段乗り多かったのではないかな。この後1戦ごとに伊藤匠七段は強くなっていった感じである。2年後はA級棋士であると予想する人も多いことだろう。残念ながら服部六段はA級棋士に成るだろうとは予想するが2年後とは思えない。今期は両者とも昇級候補には違いないけれど、何となく服部六段は伊藤七段の後塵を拝した感じである。今回の第1局では伊藤七段対服部六段の対戦が実現した。注目していたが伊藤七段が優勢になった。やっぱり感が出て来たが、さすがに服部六段が追い上げて逆転した。本当に嬉しそうだった。まだ24歳である。伊藤七段は藤井竜王名人を見ているかもしれないが、服部六段は伊藤七段と昇級昇段争いをするといいかもしれない。絶対負けたくない相手がいると努力にも拍車がかかる。新幹線ではないかもしれないが、その才能は特急はあると思うから。

 さて第1局は中部チームの服部六段が勝ったが、今季初勝利だったようだ。2局目は対永瀬拓矢九段戦であった。残念ながら永瀬九段が勝ち、3局目は藤井対永瀬戦が実現した。今期は藤井竜王名人は5連勝や4連勝と記録している。1敗したが2番手に起用していたので再び登場出来て、そのまま連勝フィニッシュしてしまった。前回は豊島九段が1番手に起用されて3連勝したので、2連勝でのフィニッシュになってしまった。11勝1敗の成績である。決勝戦は控えに回るかとも思ったが、杉本監督は藤井竜王名人を2番手に起用して、豊島九段を控えにした。万全の体制と言える。永瀬拓矢九段を破って、次に増田康宏八段を破って、2連勝となった。そのまま勝っちゃってくださいと言われながら、棋士チェンジで森内俊之九段の登場になった。さすがの指しまわしであったが、やはり藤井竜王名人の壁は厚く、藤井竜王名人の3連勝となった。最後は渡辺明九段の登場になった。出ないつもりであったが、監督として全員出場を決めたようである。渡辺監督の勝ちになった場面もあったようだが、10秒以内で指す超早指しルールでは、勝ちの手順を見出すのは難しかったようである。やはり相手が藤井竜王名人となると、きれいに勝ちを読み切れないと、勝ちが降って湧いてこないようである。

 優勝中部チーム、準優勝関東Bチーム、3位というのかな本選進出九州チームと中国・四国チームであった。関西のA・Bチームが振るわなかった。中部以西の棋士は奨励会は関西所属が多かったように思った。中部チームや中国・四国チームに選手が流れて、結果的に関西A・Bチームが弱体化したのかなと思ってしまった。

 第1回が終わって、監督の選考が難しいなと思った。それとお金の話になるが、棋士には対局料が支払われるのかな、出演料になるのかな。師匠だったからあまり関係なかったかもしれないが、ちょっと藤井竜王名人を酷使し過ぎたのではないかなと思ったりしてしまった。お菓子だけ食べて終わった回が多いように思えた。ABEMAトーナメントは出場制限があるので、9局まで戦った場合は、各棋士3局ずつになっていた。最低でも二人の棋士が勝たないと勝ち抜けない。今回の地域対抗戦は勝ち残り方式にしたので、一人が勝てば勝ち抜ける。5人の登録棋士なので、残りは応援のみになってしまう。藤井竜王名人は最終的には15勝1敗の好成績であった。優勝の為の20勝の内15勝である。豊島九段が3勝かな。服部六段が1勝で、八代七段も1勝かな。羽生九段や伊藤匠七段、菅井竜也八段も連勝したし、広瀬章人九段は4連敗後の5連勝を果たした。しかし毎回のように連勝するのは難しい。それとパブリックビューイングの運営である。対局は録画収録であるが、パブリックビューイングは生中継だったらしい。最初の方は熱気が伝わってきたようだが、後の方はちょっと無理があったようだった。一度に15人の棋士と4人の女流棋士、1名の奨励会員を集めるのは難しいのであろう。どんな風に収録されているのか知らないが、無理をすると長続きをしないので、上手に運営してもらいたいと感じた。