宮城野部屋問題は一応の決着がついたようだ。八角理事長体制が続くことになったが、本当にそれでよかったのか。宮城野部屋は一時閉鎖で、親方も弟子も伊勢ケ浜部屋に行くことになった。伊勢ケ浜部屋が吸収合併するのではなく、単に一時預かりになったわけである。二転三転して最もまずい形になったのではないかな。伊勢ケ浜部屋は今最も勢いのある部屋である。幕内力士6人は最多である。しかも一人横綱を有している。師匠は元横綱である。春場所優勝したのは伊勢ケ浜部屋の尊富士である。先場所優勝は伊勢ケ浜部屋の横綱照ノ富士である。他の部屋からしたら、羨望の的であろう。妬み嫉みは世の常とは言え、相撲協会は誰のお陰で飯を食っているのかと思う。表面的には協会の温情裁きに見えるが、宮城野部屋を潰すだけではなく、伊勢ケ浜部屋まで傾けようとしているように見える。大島部屋に弟子たちを預けて、伊勢ケ浜部屋に宮城野親方を預けて指導してもらう。協会の方針はいったい何だろうかと思う。モンゴル勢に協会を牛耳られたくないというのはわかる。朝青龍が問題を起こしたところから、ずっと続いているが、日本の国技を守ろうとしているのであれば理解できないでもない。不祥事を無くしたいというのであれば、それも理解できる。しかし事はそのように運んでいないようである。一部の既得権益を守るためのように見えて仕方がない。金儲けばかり考えている輩がいるようである。国技の名の下で優遇されている面があるが、それで甘い汁を吸う連中がいるのだと思う。八角理事長はそれほど悪い人間に見えないが、上手く利用されているのか、それとも上手く操ろうとしているのか。八角理事長が守ろうとしているものがよく見えてこない。今回の人事も結局は自身の延命保身の為と映ってしまう。伊勢ケ浜親方は人物に難があると言われているが、それはどこからの情報か。理事長としてはやっていけない親方だったのか。柴田山親方は理事長にふさわしくないのか。

 一時期出羽の海一門が連続して理事長を輩出していたが、単に横綱を多く輩出していたからなのか、それとも何かあったのかな。二所ノ関一門が横綱を多く輩出したら、やはり理事長を出してきた。大関でもいいということになったようだ。良し悪しはあるが、現役時代の番付がものをいうのは、仕方がないことである。しかしやはり横綱大関を作り出さないと師匠としては物足りないかな。横綱大関を作り出すためには、モンゴル人力士に頼ったり、学生相撲出身者に頼ったりすることになる。一つの部屋から横綱大関が出やすいのは、稽古相手に恵まれるからである。そして強くなる部屋は大体において猛稽古で有名になっていく。稽古相手がいない部屋で強くなるためには、出稽古に積極的にいくしかない。一門別総当たりの頃は、巡業も一門別の事が多かったと聞く。現在幕内力士は42人である。部屋数は45と聞く。1部屋に1人としても3部屋には幕内力士はいないことになる。伊勢ケ浜部屋には6人の幕内力士がいる。やはり適正部屋数というものがあるのかな。105という年寄株を考えると35前後がいいのかもしれない。1部屋に3人の年寄がいて、うち一人が師匠になる。一人は協会の仕事を中心にする。一人はまわしを締めて、弟子の養成の仕事にあたる。「3人寄れば文殊の知恵」である。部屋を盛り立てて、発展させ、継続させていってほしい。相撲部屋の経営を金儲けの手段にしないでほしい。長く続いている会社というか、企業というか、法人というか、そうしたものは金儲けを目的としていないと思う。神社仏閣も金儲けを目的としていない筈である。儲かるからと言って、金儲けの事ばかりすると、誰も困ったときに助けないので、結局は潰れてしまう。「世の為人の為日本の為」になってこその、相撲協会であろう。プロレスのように、八百長込みの興行を続けていると、先行きは怪しくなる。やはり真剣勝負を見たいものである。ガチンコ相撲になると、公傷制度の復活か、年6場所制を改めるかだと思う。

 今はスローモーションで再生できる。ガチンコで当たってるかどうか、すぐにわかってしまう。最近気になっているのは、NHKが忖度しているのか、微妙な判定の時、スロー再生をしないのである。それと昔と違って判定が理不尽になっていると思う。勇み足は別だが、かばい手や土俵の外でのつき手やつき足は認めるべきであろう。そのまま落ちたら大怪我になるであろうという時も、手や足をつかない。落ちる時は顔からとか言うのはやめて欲しい。土俵の高さも出来ればもう少し低くしてほしい。アマチュア相撲でも大怪我が増えているらしい。尊富士がインタビューで「自分は大きい方ではないので」と言っていたのには驚いた。十分に大型力士である。新入幕であの体重だったら、三役級であろう。それと以前から思っているが、学生相撲出身者が増えたせいであろう、立ち合いが汚い力士が多い。アマチュアはトーナメントだから、負けるわけにはいかないので、どうしても立ち合いで少しでも有利になろうとするので、汚い立ち合いになりがちである。何度か全日本のアマチュアの大会の中継を見たが、本当に潔くない。大相撲でもそれが増えてきた。大関も注文相撲で星を稼いでいたが、見苦しい。クンロク大関とかイレブン横綱は、横綱大関は失格ですよということだからな。白鵬は晩年は横綱としては晩節を汚したかもしれないが、20代までの白鵬は立ち合いからして綺麗なものだった。朝青龍も勝った後の態度がいかがなものかと思ったが、相撲内容としては良かったと思う。ハワイ出身の横綱大関は勘弁してよと言いたいぐらい大きかったが、モンゴル出身の横綱は照ノ富士を除けば望ましい体格だったと思う。日本の伝統文化を尊重して、日本語をしゃべり、日本国籍を取得しているのであれば、日本人横綱と同じように遇していいと思うのだが。日本人自身が日本の伝統文化を尊重していないように思えてならない。一人横綱として大相撲を守ってきた白鵬の功績は、そこらの相撲協会の年寄が束になっても敵わないと思うのだが。朝青龍の時も何故本気になって指導しないのかと思ったものである。師匠の責任は重かったはずだ。

 体罰に関しては、もう少し責任ある指導をしてほしい。宇良の反則負けも納得できないものだった。髷に手をかけてはいけないというのであれば、理由をはっきりしてほしい。髷が崩れたらいけないのか、髷を引っ張ると痛いのでいけないのか、傍目に髷に手がかかると見苦しいからいけないのか。立ち合いでも立たない力士は敢闘精神が欠如として負けにしてもいいと思うのだが。行司の軍配が返って、あんなにも立たないのはいかがなものかと思う。立たない力士は土俵下まで突き飛ばしてもいいと思うのだが。「立ち合いの駆け引き」以前の問題である。