夢は毎日見るそうだが、今朝は玉竜旗の夢を見た。何故だろうかと思って考えて見たら、金鷲旗大会の事を思い出しアップしたせいかなと思った。福岡の高校の柔道と剣道には金鷲旗大会と玉竜旗大会がある。全国から強豪校が参加している。どちらも5人の選手による抜き勝負である。柔道は無差別であるが、僅差の決着は無く、引き分けが多かった。5人抜きは意外と難しい。

 金鷲旗大会の5人抜きで有名なのは、最近では南筑高校の素根輝選手の決勝戦に於ける5人抜きであろう。2017年の事だった。決勝戦の相手は大阪の夙川学院高校である。既に阿部一二三選手の妹として有名だった阿部詩選手が先鋒を務めていた。軽量級の阿部詩選手は一部では現代の「ヤワラちゃん」と呼ばれていた。漫画の「ヤワラちゃん」は軽量級でありながら重量級の選手を破って優勝するのである。無差別の大会である金鷲旗大会で阿部選手は快進撃をしていたのである。決勝戦でなんと4人抜きをしたのである。南筑高校の大将は重量級の素根輝選手だった。既に重量級のホープとして期待されていた選手である。軽量級の阿部選手が素根選手を破って優勝を果たすか、重量級の素根選手が面目を保つかだったが、素根選手に軍配が上がった。夙川学院高校は強豪校で中重量級にも優秀な選手が集まっていた。素根選手に勝てないまでも引き分けに持ち込むことは出来るかなと思われていた。ところがそこから素根選手の快進撃が始まった。残りの選手4人も破ってしまったのである。そして阿部選手と素根選手は東京五輪で金メダルに輝いたのである。同学年の二人は20歳でオリンピックチャンピオンになったのである。素根選手は重量級の中では小柄であったが、見事金メダルを獲得した。金鷲旗大会では翌年も素根選手を擁する南筑高校が連覇を果たした。

 玉竜旗大会は剣道の勝ち抜きなので、勢いに乗った選手が5人抜き、次の試合でも5人抜き、そして次の試合でも5人抜きと合計15人抜きなどは、大会ごとによく出ることである。西日本新聞では5人抜きなどを達成した選手名が掲載されるので、励みになっているのであろう。玉竜旗大会は生で見たことは無い。しかし決勝戦などはTV中継される。全国大会の規模ではあるが、九州大会の趣である。九州勢が強すぎるのである。この頃は全国にも似たような大会が開かれて、剣道も全国的に盛んになったようである。文武両道とは言え、柔道や空手は危険だと母親は止める傾向がある。剣道は一時期手首を使うので脳に刺激を与えて、学業成績にも好影響を与えると言って、母親に推奨されたようである。相撲も衰退の一途をたどっており、日本古来の武道は剣道以外はどうもダメ出しが多いようである。防具をつけるので安全性は向上するが、防具代が高いということで、二の足を踏む親御さんも多いようだ。高校では男子は柔道か剣道を選択することになっている。剣道選択生が増えている。柔道はやはり注意していても怪我は付き物である。最悪の場合は死者が出ることもある。小さい時から身体接触の怖さを体験していると、悪ふざけは危ないということがわかっているが、高校生になっても悪ふざけの怖さを理解していない男の子が増えている。いじめにもなっているようである。どんなに弱い子でも泣きながら向かってくる男の子は怖いとわかっていると、からかうのにも限度があるが、今は必要以上に身体接触を避けるので、痛さを加える方も加えられる方も、手加減がわからない。びっくりするようなことが起きるのである。私は年上の男の子と遊ぶのが好きであった。チャンバラごっこなどは年上の方が手加減するので、年下の方は思い切ってやってしまう。その結果として怪我をするのは年上の子であることが多い。次には遊んでもらえないので、限度を知らないと遊び仲間は増えない。自分たちでルールを決めるので、ルールを守らないと仲間外れになる。少なくとも自分たちで決めたルールは守るというのが、遊びの大原則であった。

 勝ち抜き戦の面白さを感じるものに、最近はABEMA地域対抗戦がある。5勝で勝ちなのだが、勝ち残りなので最高5連勝が起きる。北海道・東北チームの広瀬章人九段が4連敗の後の5連勝でチームの勝利に結びつけた。4連勝は羽生善治九段もやったし、藤井竜王名人は5連勝を果たした。先日放送された関東B対九州戦はそれまでは1勝もしてなかった増田康宏七段(当時)が3連勝して沸いた。チームは4勝2敗と王手をかけた状態で佐藤天彦九段と対局して、有利に運んでいたが、痛恨の二歩で反則負けになった。時間に追われるとプロでもとんでもないミスが出ることがわかって、フィッシャールールの面白さを堪能できた。5勝目は今期不調の永瀬拓矢九段が出てきて、関東Bチームを本戦に導いた。勝ち抜き戦は体力を消耗するので、勢いだけでは勝てない。九州チームが予選敗退したのは残念だが、このリーグは優勝候補が揃っていたからな。メンバー的には仕方がない成績だったかなと思う。むしろ善戦したのではないだろうか。本戦には関東A,Bともに残り、後は中部と中国・四国チームが1位通過した。優勝は平均点の高さの関東Bか、藤井竜王名人を擁する中部チームか、羽生九段が率いる関東Aチームか、個性的な棋士が集まっている中国・四国チームか。最初の頃は反射神経の良い若手棋士が強いのかと思われたが、フィッシャールールに慣れたベテラン棋士も活躍している。結局は強い棋士はどんな持ち時間でも強いことがわかり始めた。

 しかし地域対抗の勝ち抜き戦とは面白いものを始めたものである。やはり我が地域を応援したくなるものである。