相撲協会には年寄株というものが有る。親方になるにはこの年寄株を持っていないとなれない。特例として一代年寄という制度があった。横綱で顕著な成績を挙げた力士が、推挙されることになっていた。過去には「大鵬」「北の湖」「貴乃花」の3人がこの一代年寄になっている。なんとなく優勝回数が20回を超えるとなれるのかなという感じであった。千代の富士は辞退したと伝えられている。「九重親方」になって、部屋を継承していく事を優先したと伝えられていた。「一代年寄」なので後継者はいないわけである。「一代年寄」で部屋を持っていても、次の代には部屋の名は継承されないわけである。名誉には違いないが、痛し痒しのところがあることが露呈した。20回以上の優勝回数と言えば「朝青龍」と「白鵬」がいるが、共に一代年寄にはなっていない。大鵬、北の湖、千代の富士が亡くなって、貴乃花が生きているが、朝青龍同様相撲協会には籍がない。白鵬も風前の灯火である。いつ消えてもおかしくないことになっている。なんか考えさせる感じだな。

 私の記憶では、年寄株は105だったと思う。理事選挙には105人の年寄と、立行司と横綱が投票権があると聞いていた。今は理事選挙の際、横綱や立行司の話が出ないので、投票権は無くなったのかな。10人の理事が選挙で選ばれて、理事の互選で理事長が決定されるそうである。五つの一門からそれぞれ理事候補が選出されて、10人の候補者で無投票当選になるのが慣例のようだ。それに反旗を翻したのが「貴乃花親方」であった。11人の候補者が出たので投票になった。貴乃花親方は落選するものと見られていたが、なんと当選してしまった。貴乃花グループの他から造反が出たのである。人気も実力も後ろ盾もあった貴乃花親方だったが次第に後ろ盾が心細くなっていった。初代若乃花も初代貴乃花も亡くなり、大鵬や二代目若乃花もいなくなった。二所ノ関一門は名門だったが部屋を出て、新しく部屋を興したところが強くなった。花籠部屋然り、二子山部屋然り、藤島部屋然りである。横綱が出たところが裕福になっていく。相撲部屋とはそのような仕組みである。出羽の海一門は母体の出羽の海部屋がしっかりしていた。一時期は部屋を出ることは許さず、部屋付きの親方が大層多い部屋になっていた。横綱栃ノ海も中立親方として、部屋付きの親方として一生を終えたのではなかったかな。部屋を経営するのは大変だったと思う。30もあっただろうか。昭和30年代前半までは一門別総当たりだったと思う。大鵬と若乃花は取り組みがなかったと思う。それが部屋数が増えたせいか、それとも何か原因があったせいか、部屋別総当たりになった。

 現在の部屋数は44部屋と減っています。一時期は猫も杓子も新部屋誕生に沸いたものである。都心から離れて郊外や近県に移ったりしたものである。しかし独立して部屋をやっていくのも大変である。横綱大関とまでいかなくとも、幕内力士でもいれば後援会も大きくなろうが、幕下以下ばかりでは弟子たちにお小遣いをやるのも大変であろう。ただでさえ大飯喰らいの集団である。食費もかさむばかりであろう。差し入れがないと満足に食べさせられないのではないかな。現在の状況44の部屋数が多いのか少ないのかよくわからないが、5つの一門なのだから20から30ぐらいが適正数と思うのだが。部屋付きの親方がいない部屋もあるのではないかな。あまり良くないと思う。仮に35歳ぐらいで引退して部屋付きの親方になるとする。そこから30年である。相撲協会の仕事もあるだろうから、親方としての下積みもあっていいと思うのだが。貴乃花親方は協会改革を焦ったと思う。何が相撲協会に必要で、何が不必要なのか、まだわからない状態で突っ走ってしまった感がある。陽の当たる所ばかり歩いてきた感じがする。苦しい稽古はしたであろうが、いいことばかり聞かされてきたような気がしてならない。

 しかし相撲協会がやくざな集団に成り下がってはいけない。八百長相撲の是非はもう少し多面的に検討しなければならないであろう。1年を10日や20日で暮らすならばそれでもいいかもしれないが、年6場所90日間のガチンコ勝負は、怪我を前提にしなければならない。プロレスラーは八百長もするかもしれないが、ガチンコも強いのである。プロボクシングは年間に何試合するであろうか。ガチンコだと年間に数試合が限度である。古代では相撲で死者が出ていたという。公傷制度の復活か、年2場所から4場所程度にしないと、真剣勝負は難しい。横綱は弱くなって負けるのではなく、体がボロボロになって負けていくのである。大関は2場所で陥落するので、元大関ばかりが増える。以前のように3場所まで良しにするか、場所数を減らすかだろう。土俵の高さは伝統もあるであろうが、もう少し低くしてやると怪我も軽く済むのではなかろうか。空前の大型力士化だからな。客も怪我しないのだろうか。外国人が怪我したら訴えられるのではないかな。客の安全に配慮が足りなかったと。

 年寄株は誰のものか?遺族のものか、協会のものか。株数が増えないので高騰化するのは当たり前である。年寄株を相撲協会の共有財産とするのであれば、もう少し方法があったと思う。部屋の土地や建物は誰のものか。個人の所有物なのか。協会の資産なのか。不透明なものが多い。横綱大関が年寄株を取得できないで、引退できないでいるのは可哀想と思ったが、昔と比べて力士の給料は高いのだな。十両力士で年収1000万円超ということらしい。大学出身の力士が増えるはずである。大卒1年か2年かで、年収1000万円以上となると、実業団や高校で相撲取っていられない。最近有望力士が少し活躍したと思ったら、怪我や稽古不足で幕内の下位をうろうろしてしまう。十両に落ちてもあまり発奮しないようである。息長く相撲取りを続けることの方を選ぶようである。片八百長的な相撲が増えることになる。恐らく金は動いていないのであろう。暗黙の了解と言うやつか。もうすぐ春場所である。大阪場所は荒れるという。春の嵐が吹くのであろうか。