だいぶ前に「三段リーグ結果」としてアップしていたら、昨日15人もアクセスがあった。ああ紛らわしいんだなと思い、今日は「2月18日分」とした。やはり三段リーグの結果に関しては興味がある方は多いのであろう。

 さて12勝2敗と単独トップだった山川泰熙三段は連敗を喫して12勝4敗になった。ところが11勝3敗勢3人も1勝1敗として皆12勝4敗になってしまった。順位の差で山川三段がトップである。次が高橋佑二郎三段が2位である。期待の若手岩村凛太郎

三段は3位である。このままだと次点になる可能性がある。中学生三段の山下数毅三段は1勝1敗で10勝6敗になった。次点の可能性は作れば少しあるが事実上中学生棋士は無理になった。もう一人の炭崎俊毅三段は連勝して8勝8敗となり勝ち越しの目が出て来た。8勝目は山川三段から上げたものである。1期抜けは駄目だったが16歳四段の目はまだある。中学生棋士にばかり注目が集まるが、16歳四段も貴重である。以前「将棋フォーカス」でやっていたが、確か10人いなかった筈である。その中に大山十五世名人の名があったのであれっと思った。私の記憶だと17歳四段だったと思うがと、不思議に思ったが、数え年だと考えれば16歳11カ月もわかる。大山名人は3月生まれなのでピタッと来るかな。17歳四段も有望なのだが、あまり活躍しなかった棋士も多い。天狗にでもなったのかなと思ってしまう。16歳四段は「腐っても鯛」なのか、皆名を残しているようだ。豊島将之九段、佐々木勇気八段、増田康宏七段とかである。中学生棋士の期待が高かったが、残念ながら三段リーグの壁に阻まれた格好である。それでも2,3年で通過している。山下三段は次点1回を持っているので、新人王戦で優勝すれば次点2回として四段昇進が出来るそうだ。スタート時点では三段で新人王を取った時は四段になっていたので有名になったのは上野裕寿四段である。昇段前の2年は13勝、12勝、12勝して14勝4敗で昇段している。5年かかったのは実力を蓄えていたとも言える。

 2敗3敗勢のブレーキは最終日前や最終日によく起きることではあるが、面白かったのは中七海三段の勝星である。6連敗を喫してこれは降段点もあるかもと心配した。最終日前の相手が山川三段と山下三段である。このまま連敗したままリーグが終わるのではないかと思った。西山朋佳女流四冠も里見香奈女流四冠も三段リーグ時代出足が良かった時、中盤で崩れて連敗街道まっしぐらということが多かったように記憶している。中三段も今期はそうかなと思ったが前回で5勝目を上げて連敗ストップと降段点は免れた。5勝9敗で迎えた山川三段戦、勝ってしまったのである。昇級争いをかき乱したのである。次に山下三段戦、にわかに起きた昇級争いの目にビビったのかどうか知らないが山下三段は6敗目を喫してしまった。2連敗を予想していたのにまさかの2連勝。西山三段以来の女性三段として勝ち越したこともある中三段を舐めていたことはないと思うが、それにしても昇級争いをしている三段に連勝するとは。山川三段はその後炭崎三段にも敗れて、12勝4敗のグループに仲間入りである。順位の差でトップを守っているので連勝して四段昇段を獲得できるか。広瀬九段門下である。村上三段の1期抜けはあるのか。最終局の山川三段対村上三段戦は勝った方が昇級を決める対局になるのではないだろうか。

 昇級争いとは関係ないが、斎藤優希三段が10勝目を上げて三段リーグ残留を決めた。通算12期で負け越したのは1回だけで、これで7期連続勝ち越しである。10勝以上の勝ち越しが9期もあるのに、次点すらないのである。13勝が1回、12勝が2回である。深浦九段門下である。師匠ともども佐々木大地七段の順位戦の不運も目立つが、この斉藤三段も不運が目立つ。今期は出足でつまづいて1勝6敗のスタートになった。年齢制限があるので、これはいよいよ退会なのかなと心配した。しかしさすがに実力者9勝1敗と巻き返した。三段リーグ勝率5割8分台は並の四段では取れない。しかも12期である。10期以上でこんなに高い勝率を上げている三段はあまり知らない。5期以内ならば勝率6割も珍しくないが、10期以上となると平均10勝以上を上げ続けていたということなのだから。次点が1度や2度あってもおかしくないが、斎藤三段は1度もない。来期は必ず抜けてほしい人材である。木村一基九段のように化けるかもしれない。衆目が一致する昇級候補者は大体において四段昇段後は目覚ましい活躍をすることが多い。郷田真隆九段のように四段でタイトル獲得は制度変更でもう起こらなくなったが、五段では起こる可能性がある。最も藤井竜王名人が八冠を持ち続けていたら難しいかな。藤井竜王名人がタイトル取られて、その取った相手に挑戦することが出来たら、わからないかな。加藤一二三九段が中原誠十六世名人の10連覇を阻み、有頂天になっている時に谷川浩司八段(当時)は初タイトル挑戦だった。加藤防衛の予想は谷川八段の3連勝で消し飛んでしまった。最初の中学生四段が名人戦で2人目の中学生四段に敗れるかもしれないのである。沸き立ったなあ。当時は名人獲得42歳は史上最年長であった。その後米長邦雄永世棋聖に破られるまでは。3連敗の後2勝返したが、谷川名人の誕生を阻むことは出来なかった。史上最年少名人の誕生である。それまでは中原名人の24歳だったが、一気に21歳になってしまった。中学生四段が順位戦6期で名人挑戦を20歳で果たしたのである。20歳の挑戦者は加藤一二三八段以来である。しかしこの時は大山名人が壁になって立ちはだかっている。その後は順位戦を毎年昇級するのは困難になって、記録更新は絶望的になっていた。藤井竜王名人が記録更新したのは順位戦6期で名人挑戦を果たしたことと、7月生まれであったことである。谷川十七世名人は4月生まれである。