17日にABEMA地域対抗戦を見た。2位決定戦の1回戦の北海道・東北チーム対関西Aチーム戦である。第1局は小山怜央四段対久保利明九段戦であった。小山四段は対中国・四国チーム戦で、その強さを見せた。北海道・東北チームのエースになったかのような感じであった。対する関西Aチームは羽生善治九段に4連敗を喫しており、さらにエースの稲葉陽八段が体調不良で欠場と言うアクシデントが起きた。代打には井田明宏四段が起用された。試合開始前から暗雲がかかるような感じであった。第1局は小山四段が有利に推し進めたが久保九段が粘り勝ちをした。しかしここから快進撃が始まるとは思わなかった。広瀬章人九段、野月浩貴八段、戸辺誠七段を破った。そして第5局は再び久保九段対広瀬九段戦となった。実は第2局の久保対広瀬戦の途中で私は寝落ちしてしまっていた。そして目が覚めたのは第5局の久保対広瀬戦であった。寝ぼけていた私はまだ続きかと思った。ところが関西Aチームに4勝が入っていた。つまり久保九段が4連勝していて、この対局に勝てば関西Aチームの勝利が決まるところであった。しかし広瀬九段が頑張って1勝を上げた。

 第6局は佐藤康光九段対広瀬九段戦になった。佐藤九段のペースで進んでいった。ところが再び寝落ちしてしまった。再び目が覚めた時はもう2時近くになっていた。ベッドに移って三度寝をした。翌日改めて関西Aチーム対北海道・東北チーム戦を見た。第2局から見始めたが、久保九段の活躍を知った。ここまでの対局で広瀬九段も不調のようであった。第5局で久保九段に勝った時「久しぶりにフィッシャーで勝った」と嬉しそうであった。第6局は佐藤康光九段が優位に進めて、最後銀を捨てて必至をかけた。解説は高﨑一生七段だったが、銀を渡すのは危ないですよと言っていた。佐藤玉を詰ますしかなかったが、広瀬九段は見事詰み上げた。大逆転である。しかし広瀬九段は詰みが見えていたようだ。最後の感想でも佐藤康光九段戦が最も危なかったと語っていた。

 これで2勝4敗になったが、まだカド番には変わりない。第7局は井田明宏四段戦であった。この対局も途中井田四段の方が有利な時もあったが、広瀬九段が懐深いところを見せて勝利した。広瀬九段はどちらかと言うと強気な発言が少ない。「まああまり期待しないでください」とか、「作戦負けしても責めないでください」とかというような内容であった。第8局は再びと言うか、三度久保九段戦である。二度は先手が勝っている。今回は久保九段が先手である。もうここで勝たないと関西Aチームの勝利は怪しくなる。関西Aチームは連敗を止めるのがいないようだ。残りは出口若武六段と谷川浩司十七世名人である。佐藤康光九段を出すか、自ら出馬するか、経験を積ませる意味でも出口六段を出すか、谷川監督の采配が注目される。

 最終局は振り駒で関西Aチームが先手を取った。最終局は出口六段が起用された。前回の関東Aチームとの対局では1局目に起用されて、佐々木勇気八段を破っている。フィッシャールールによる対局でも慣れてくると、やはりA級棋士が強い。A級棋士を二人以上擁しているチームが優勝候補になっている。広瀬九段は今期順位戦で苦戦していたが、勝てば残留決定まで持ち込んだ。この地域対抗戦でもチーム4連敗後の5連勝で北海道・東北チームを2位決定戦に押し上げた。勝ち残り方式は勢いに乗ると指運も味方するのか、藤井竜王名人に続いての5連勝達成である。藤井竜王名人の場合は2局目からの登場だったので、負けても後がいた。豊島将之九段もリザーブでいるという豪華さである。後のない広瀬九段の方が劇的だったかな。

 九州チームを応援しているが、まさか関東Bを破るとは思わなかった。最終局の伊藤匠七段を破ったのは、A級棋士の佐藤天彦九段であった。結構肝心なところでA級棋士は勝っているなと思った。関東BチームはA級棋士は3人かと思ったら2人だった。A級棋士が2人いるチームは1位決定戦に駒を進めたと思っていたら、最後に予想を裏切ることになった。関西AチームはA級棋士の稲葉陽八段の欠場が痛かったかな。関東Bチームの敗因はA級棋士2人が第1局第2局で負けて再出場しなかった事かな。リザーブに増田康宏七段や伊藤匠七段などがいたことが、渡辺監督の判断を狂わせたかな。ABEMAトーナメントの優勝チームのメンバーだからな。勝手がわからないA級棋士より勝率が高いからな。しかし肝心な対局ではA級棋士の経験が生きるのかな。しかし予想以上に地域対抗戦は面白い。地元の応援を背に受けて、恩返しも兼ねての奮戦ぶりは見ごたえがある。地域の活性化にもつながるであろう。まだ5試合だが、もう成功と言っていいだろう。