もうすぐロシアのウクライナ侵攻から丸2年になろうとしている。最近日本ではよく停戦すべきかどうかという話題がある。ヨーロッパではウクライナ支援疲れが顕著になっているそうだ。戦死者も増えている。停戦すべきであるというのが、日本国民の声ではなかろうか。しかし今のままでは停戦すべきでないという声も多いようだ。先日NHKの「クローズアップ現代」で佐藤優氏の意見が取り上げられて、それを批判する意見が、いくつかニュースになっていた。正直なところ、この問題についてはよくわからない。確かな情報を持っているわけでもないので、判断するには情報不足という気もする。だったら黙っておくかということになるが、ちょっと気になることがあった。それは「停戦すべきではない理由」にある。

 簡単に言うと「停戦はロシア寄りの発言で、ロシアのプロパガンダによる影響が大きい」というものである。ロシアの天然ガスなど買うなとも言っている。ロシアに支払うお金で、ウクライナの人々が殺されるという訳である。当初ウクライナのゼリンスキー大統領を英雄と称して、降伏すればいいという意見に対して、何馬鹿なことを言っている、よく戦っていると言った友人も最近はよくわからなくなったと言い始めている。侵略されて、簡単に降伏するなんて、そんな馬鹿な話はないと息巻いていたが、こんなに長引いてくると、落としどころを探らないといけない。戦争を継続するには色々なものが必要になってくる。武器と兵士ももちろんだが、物資や食料、戦闘意欲と言うか士気と言うか、そうしたものも必要だし、国際的世論を味方につける必要がある。

 最近よく耳にするのは、2022年からロシアが侵攻したのではないという意見である。2014年からのドンバス戦争のことは耳にするが、正直なところもっとわからない。ウクライナの地を占領しようとしたことはずいぶん昔からあった話のようだ。ナチスドイツも一時期占領して、ウクライナの独立を目指す人々はドイツとともに旧ソ連軍と戦った。ナチスが敗れ再び旧ソ連軍が戻ると大虐殺が起きたらしい。プーチンがゼリンスキー大統領のことをネオナチと言うのは、この辺りの事を指すのであろう。ナチスドイツと協力して、旧ソ連軍と戦ったことに由来しているのだろう。ロシアに歯向かうものは皆殺しの勢いである。スターリンは多くの人々を殺した。ソ連の国内でも粛清と称して随分と殺しているし、もちろん戦争でも敵味方なく殺している。ドイツ人よりも多くのロシア人を殺したとも言われている。ユダヤ人も沢山殺している。数万人規模ではないそうだ。第一次世界大戦前には多くのユダヤ人がソ連領内に居住していたそうだ。その後多くのユダヤ人がアメリカに移民として移住したが、ヨーロッパにも移住した。それがナチスのユダヤ人狩りの一因にもなっているらしい。流浪の民ユダヤ人は国土を持たないために、移住先で差別と迫害を受けながらもしぶとく生き残った。第二次世界大戦後、約束の地にイスラエルを建国した。それがパレスチナ問題を引き起こすことになった。ゼリンスキー大統領はユダヤ人の血を受け継ぐものらしい。ゼリンスキー大統領の父は、ウクライナでユダヤ人虐殺を受けたがどうにか生き延びた一人だったらしい。祖父の世代は大体殺されたらしい。ドンバス地方で生き延びたゼリンスキー大統領は、当初ウクライナ語はあまり話せないでむしろロシア語を話していたそうである。ロシアのやり口をよく熟知しているのだろう。戦争継続の意思が固いのは、ゼリンスキー大統領個人の問題もあるのだろう。ロシアは信用できないのである。ドンバス地方でロシア人が不利益を被っていたのは事実であろう。それを口実にロシアが武力介入したのも事実だろう。しかしそうしたことでここでの停戦がロシアを利することになるので、声高に「停戦反対」と叫ぶのはいかがなものかと考える。もう少し戦争を継続したらウクライナに有利になるのだろうか。プーチン勢力が力をなくすであろうか。戦争を継続すればするほど独裁者にとっては都合の良いことが起きるのではないかな。スターリンがそうだったように政敵の粛清はやりやすくなる。有事の際のどさくさに紛れて現政権にとって、不都合な勢力は排除していくのではないかな。ロシア側だけでなくそれはウクライナ側にも起こっているようである。

 恐らく停戦は最善の策ではないと思うが、「停戦反対」は次善でもなんでもないと思う。ウクライナ国民もロシア国民も戦争を継続すればするほど戦死者は増大するのである。戦後に虐殺が起こらないように、国際的な監視団を送って、平和な形で話し合いが出来るようにすべきではないだろうか。戦争をすれば憎悪は増すばかりである。関係ないものが多くは利益を上げる。戦争当事者は損するばかりである。大東亜戦争でも昭和18年の段階で和平交渉をしていれば、こんなことにはならなかったのではないだろうか。ウクライナもあと2年は持たないのではなかろうか。ロシア寄りと言われても、ロシアが負けることはアメリカやヨーロッパが本格的に参戦しない限り考えられない。ヨーロッパは核兵器を考えるとあまり参戦出来ないだろうから、結局はアメリカが参戦して決着をつけることになるであろう。そうすると人類の未来はどうなるだろうか。環境破壊はすさまじいものになるであろう。人類はそれでも一部は生き残れるかもしれないが、今のような姿には戻れないであろう。やはり「停戦プラス話し合い」しか道はないのでは。プーチン暗殺はもっと悲劇的な事態を引き起こすかもしれない。皆殺しのメロディが流れ、核のボタンが押されかねないと思う。ベトナム戦争の時も核兵器使用が検討されたという。結局は核兵器使用ではなく米軍撤退という判断をしたが、それは最良の選択だったかもしれない。

 日本が日清日露の戦いに勝利したが、それは約2年で終わったせいではないだろうか。明治政府は屈辱的な講和条約も飲み込んだ。昭和の政府は満州事変以来和平交渉に成功することなく、戦争継続を選んでしまった。15年戦争ともいうが、国土も国民も疲弊してしまった。ウクライナも屈辱的な条件にはなると思うが、「停戦合意」が次善には違いないのではないだろうか。戦わずして降伏したわけではない。ベトナム戦争は米軍が撤退したが、アメリカが負けたわけではなかったが、アメリカが負けたことになっている。朝鮮戦争は停戦で引き分けになったのかな?いや、今の北朝鮮と韓国を比較したら、韓国が実質的には勝利していると言えるのではないだろうか。ウクライナは停戦後、実質的な勝利を獲得すればよいのではないだろうか。

 「ウクライナに平和を」を叫ぼうではないか。