卓球のパリ五輪日本代表が決まった。大方の予想だったかは知らないが、女子は早田ひな選手、平野美宇選手、張本美和選手に決まった。男子は張本智和選手、戸上隼輔選手、篠塚大登選手である。男子は選考ポイントの上位3名である。女子は4位の張本美和選手が3位の伊藤美誠選手を押しのけた形である。世界ランキングから国内外の試合を選考ポイントにして、過去2年間の獲得ポイントで選考するという選考基準の変更は、協会主導のようであったが、選手ファーストではなかったという批判が噴出しているようだ。一番の被害者は伊藤美誠選手であろう。前回までの選考基準だったならば、2番手でシングルスにも選ばれたはずであった。私見ではあるが、Tリーグの影響が大きかったと思う。オリンピックでメダルが取れるようになって、卓球人気が出て来た。それを定着させたかったはずである。Tリーグの開催に当たっては、スポンサーなど無理したと思う。発足したは良かったが観客動員数が今一つ伸び悩んだ。スポンサーが撤退したら困る訳である。有名選手を出場させねばならない。過密スケジュールになってしまった。私利私欲に走る協会もあるかもしれないが、卓球協会はそんなことはないと信じたい。「卓球日本」と言われて、日中友好の旗の下ピンポン外交で中国に卓球を教えた日本である。昔を知っている日本人にとっては、一時期の停滞は許せなかったと思う。そして深く反省して「卓球日本復活」にかけた人々が沢山いた訳である。現在の有名選手の親たちは大抵卓球選手だった過去を持つ人が多い。私が中学時代は町に卓球場が結構あった。そこで卓球を楽しむ若い男女が集まっていた。卓球デートなどがあったもので、そこで恥をかかないためにも卓球を真剣に練習したものである。そのうちボーリングに変わってしまったが。

 スポーツが盛んになりプロ野球が人気になり、ゴルフが盛んになり、とうとうサッカーブームが起きてJリーグが発足した。バレーボール、バスケットボール、テニスとプロスポーツが増えていった。そこに福原愛、石川佳純選手などのスター選手が出て来た。Tリーグの発足につながったわけである。協会がTリーグの灯を消すなと思ったことは想像に難くない。金儲けを考える人も参入してきたこともあるだろう。資本主義社会では否定してはいけない現象であろう。Tリーグの人気を高めるために、有名選手が毎回出場することが求められた。海外で活躍して、いくら報道されても観客動員に結びつかない。海外の試合同様に、Tリーグでの活躍が選考ポイントに加算されるようになった。しかも2年も前から。メダル獲得よりも参加することに意義がある大会が増えてしまった。回復が速い若手が活躍するようになった。今回の代表の最年長は23歳である。しかし2年間の長期にわたってのポイントだから急激に力を伸ばしてきた選手は、ポイント的には不利になってしまった。張本美和選手が代表的であろうが、10代半ばはきつかったようである。男子では松島輝空選手などが間に合わなかった口であろう。リオ五輪の女子の代表には15歳の伊籐美誠選手が選ばれて、同年齢の平野美宇選手が補欠だった。練習相手を務めたり、球拾いをしたり、応援したりする姿がよく映っていた。その後「ハリケーン平野」と呼ばれるような活躍することになる。アジア大会で、中国選手を3人連続で破り金メダルを獲得した。17歳の時である。その後中国に対策を練られてしまった。普及と金メダルというのはなかなか両立しがたいからな。国内に縛られると競技力は向上しないからな。サッカーも海外に沢山出て行って競技力は向上したからな。別の悩みも出てくるわけである。野球もMLBでの大谷翔平選手の活躍は喜ばしいが、日本のプロ野球人気には陰りが出てきた感じである。日本のプロ野球が通過点になってしまっている。弊害も多くなっている。卓球がどの道を歩むか知らないが、伊籐美誠選手の個人攻撃や、卓球協会への不適切な批判はあまり良くないかな。