パリ五輪選手選考について、昨日卓球とマラソンについて書きたいと思ったが、卓球で思わず長くなったので、次の機会にマラソンについて書こうかと思っていた。ところがネットニュースを見ると、伊藤美誠選手についての個人攻撃が酷かったので、もう少し卓球について触れて、マラソンについて述べたい。

 今回の個人攻撃はどうやらパリ五輪の団体戦辞退の本音を伊藤選手が漏らしたことによるもののようだ。不貞腐れているとか言われているが、不貞腐れても仕方がないような、選手選考方法だったと思う。前回までの選手選考だったら、伊藤選手は選ばれて然るべきなのだから、そりゃあ不貞腐れても仕方がないだろう。わがままとか言っているが、以前は「歯に衣を着せぬ発言」とか言って称賛されていたのだから、手のひら返しもいい加減にせいよ、と思ってしまう。ポイント制も悪くはないが、期間が長すぎる。絶対Tリーグの観客動員の為に、五輪選手選考が利用されているとしか思えない。協会は金で動くので、反対意見を表明する伊藤選手が煙たかったのだろう。実績十分の伊藤選手が言うので価値があるはずである。ポイントの付け方も、ベスト8とか16でもポイントが付くようだ。たった二人の代表選手の選考である。ベスト4以下にポイントを付けてもあまり意味がない。少なくともベスト8以下は全く意味がないどころか悪影響が出ると思う。女子卓球は今や五輪で毎回メダルを獲得している。メダルを獲得するための選手選考をすべきだと思うが、ところがそうではなかった。参加することに意義があるのは、陸上や水泳である。それなのに陸上や水泳は高いハードルを掲げて、選手育成を妨げている。2年間のポイントも世界ランキングだったならば、肯けるが国内外となると、やはり傾斜配分などを導入すべきか、直前の1年間だけでいいと思う。有力選手が怪我などのアクシデントでポイントが低くなることを予防するためならば、2年前も考慮していいかもしれないが、基本は直近の大会成績である。直近の大会成績ならば張本美和選手が選ばれるのが当然であろう。最終選考でほぼ選ばれることがないだろうになっているのはおかしな話である。

 ダブルスも重視するのであれば、木原美悠選手が選ばれる事があってもいいと思われるが、一体どう考えるのか。伊藤選手などの活躍で金メダルや銀メダル、銅メダルなど多数のメダルを獲得出来るようになった。しかしTリーグの観客動員でも分かるように、まだまだ卓球は地味なスポーツである。協会内で派閥争いなどしている時ではない。一気に卓球人気に陰りが見えるかもしれない。

 マラソンの選手選考も昔から疑惑を持たれている種目である。特に女子マラソンが色々あった。今でも印象に残っているのは有森裕子選手と松野明美選手のバルセロナ五輪への出場権を争っての騒動である。結局は有森選手が日本人女子初のメダリストになって決着がついた形になったが、銀メダルだったことで、松野選手が「私だったら金メダルが取れた」と発言したとかしなかったとかで話題になった。4年後のアトランタ大会で銅メダルを獲得した直後に有森選手は「銅メダルだったけど、自分で自分を褒めたいと思います」とインタビューで答えたのが大いに話題になった。2大会連続の五輪のメダル獲得は、金メダリストの高橋尚子選手も野口みずき選手も成しえなかったことである。女子マラソンの五輪のメダリストはこの3人しかいない。4位や8位入賞は何人かいるが。2004年のアテネ五輪からメダリストは出ていない。MGCが生まれてから、選考は公平になったかと思われたが、東京五輪では可哀想なことが起きた。3名の選手の内2名はMGCの上位2名で決定するが、もう1名はMGC以後のマラソン大会の成績で決めるというものである。大坂と名古屋である。設定タイム以上を出している選手の中で一番良かった選手ということで、松田瑞生選手が大阪女子マラソンで日本人一位で設定タイムを超えたので、ほぼ内定かと思われた。ところが名古屋女子マラソンで松田選手の記録を上回る選手が出てきて、松田選手は五輪出場はならなかった。今回前田穂南選手が日本新記録を出して、ほぼ内定であるように報道されているが、名古屋で今回の記録を上回る選手が出たら、その選手が代表に選ばれることになっている。前田選手が松田選手のようにならないことを祈る。

 バルセロナ五輪の選考の時も、大阪を走るか名古屋を走るかで明暗が分かれた。大阪女子マラソンを走った松野選手は好記録を出したが、日本人2位だった。日本人1位はダークホースの小鴨由水選手である。しかも初マラソンで日本最高記録を出した。内定である。後1枠が松野か有森になった。もう一人は世界選手権で銀メダルを取った山下選手である。その時4位になっていたのが有森選手である。名古屋は有森は走らなかった。故障明けもあったが、五輪本番までの間隔を考えれば避けた方がいいという小出義雄監督の助言もあったそうである。

 しかし小出監督というのはすごい監督だったなと思う。高橋尚子に金メダルを獲得させたというので有名だが、実は有森裕子も教え子である。そして世界陸上のマラソンで金メダルを取った鈴木博美も指導している。その指導法は後輩に受け継がれているのかな。MGCが生まれて、有森選手も小鴨選手も喜んだそうである。長い距離を走るマラソンは気象条件や体調やレース展開に左右されやすい。。パリ五輪の選手選考がスムーズに進むことを願う。