3日に行われた叡王戦第2局の敗戦は痛くて、虫のいいことを考えすぎたかなとも思った。どうも敗戦の場合はブログを更新しないというのはまずいかなと思い直し、今思い返している。昼食休憩後の藤井王位棋聖の一手は思いがけず、攻めの一手でAIは不利になると判定していた。このところ昼食休憩後には積極的な指し手が多くなっている。必ずしも有利になっているわけではないが、その後の展開で有利になっていくようだ。この第2局も藤井王位棋聖が有利になった。時間も残っていて、このところの対豊島戦同様このまま押し切っていくのかなと思っていた。ところが解説の片上七段が言っていたが、「私の手が当たるようになってきた。私としては嬉しいが、展開としてはどうでしょうか?」1,2度勝勢に持っていけそうな場面でAIとは別の手を指していた。少し相手玉を逃がしてしまったようだったが、と金で8九の桂を取れば優勢を拡大できそうだった。普段の藤井王位棋聖だったら逃しそうにない手である。ところが7八とと金を取ってしまった。王手がかからず二手隙みたいな手である。AIも豊島竜王叡王の有利に振れた。しかし局面はまだ難しかったはずだが、その後は豊島竜王叡王は最善手の連続で、二度と挽回の順が回ってこなかった。だいぶ駒を渡したが罪はないと読み切ったのではなく、多分直感でそう判断をした豊島竜王叡王は必至をかけて藤井王位棋聖に手を渡した。だいぶ前から両者1分将棋である。豊島竜王叡王の手には歩しかなく、かなり難しい。そこから藤井王位棋聖の王手ラッシュがあったが、受け損ねたら負けの場面も何度かあったが、豊島竜王叡王は最善手で乗り切った。解説でも言っていたが、詰みを読み切ったのであれば、藤井王位棋聖の指し手は早くなるはずなのに55秒まで読まれている。豊島竜王叡王は途中から詰みはないと悟ったのか落ち着き払った態度になった。藤井王位棋聖も相手が間違えない限り詰みはないことがわかり、覇気が感じられなくなった。間違えたら詰みの場面が無くなって、単に王手を続けるだけになって藤井王位棋聖が投了した。何手連続王手をしたのだろうか。しかもAIが示す最善手の王手で、AIが示す最善手の逃げであった。30手は超えたであろうか。豊島竜王叡王は単に藤井王位棋聖を得意にしているのではなく、終盤は藤井王位棋聖並みに強いことを証明した。6連敗しているときは、将棋の内容では3勝3敗で、豊島竜王叡王でなかったら4勝2敗かもしれないと思ったが、相手は豊島竜王叡王なのだから6連敗を受け入れないといけなかった。豊島竜王叡王の立場からしたら、この対局を負けたら対藤井戦4連敗になってしまい、叡王位にも王手をかけられてしまう。一度不利になるとはね返せないとなると今後の対局にも影響する。かなりがっかりしたが、勝負としては面白くなったのかと思い直した。

 ただ過密スケジュールが本当に心配になる。明日が竜王戦本戦準決勝八代弥七段戦。9日には叡王戦第3局があり、第4局が22日に入った。王位戦第5局の直前である。16日には王将戦二次予選決勝の対稲葉八段戦がある。タイトル戦も大事であるが、竜王戦も王将戦も大事である。挑戦者決定戦や王将リーグ入りを決める戦いである。「19歳真夏の挑戦」と言っていいかな。