いつもは藤井王位棋聖の対局翌日にはブログを更新するのだが、今回は西山三冠の結果を待った。三段リーグでは指し分けに終わった西山三段はいよいよ来期は最終リーグである。少なくとも勝ち越しは絶対条件になる。中七海三段が降段点を免れたのは良かったが、三段リーグの終盤戦は女性三段には厳しいものになった。西山三段が四段昇段を果たすためには、次のチャンスが竜王戦6組での優勝である。現在6組5回戦まで勝ち上がっている西山三冠は後3勝で四段昇段を果たす事ができる。5回戦の対局相手は小山怜央アマである。プロよりアマの方が指しやすいということはない。小山怜央アマは奨励会在籍の経験はないらしいが、アマチュアの全国大会で数々の優勝を果たした、アマ強豪の中でも一、二の実力者である。私見ではあるが、女流三段、奨励会三段の下位者よりは強いと思われる。もちろん奨励会三段の上位者はフリークラス棋士より強い。ただし森内俊之九段は除く。小山アマはまだ20代で岩手県出身である。東日本大震災の被災者でもある。岩手県立大学で頭角を現し、学生名人、アマ名人、アマ王将、赤旗名人そしてアマ竜王と大活躍していることでも有名である。奨励会三段編入試験を受験をしたが2勝3敗で不合格になった。今回の西山三冠戦はアマチュア初の4連勝がかかった大事な1局であった。前にも書いたが、女流棋士やアマチュアは1敗で即失格である。プロが2敗失格制なのに、不公平という気もしないではない。結果は小山アマが勝ち、ベスト4入りを果たした。後2勝で優勝である。漫画では竜王戦ドリームが描かれることが多い。それは6組優勝すれば、決勝トーナメント進出がきまり、更に勝っていけば竜王挑戦ができるというシステムのせいである。しかし残念ながらアマチュア強豪をもってしてもこの壁は厚く、3連勝が最多であり、ベスト8止まりであった。この度小山アマがベスト4を決めて、竜王戦ドリームが続いている。西山三段の竜王戦や新人王戦での活躍は、特例を考えてもいいような実績だと思うが、どうであろうか?

 さて藤井王位棋聖の竜王戦の結果は、松尾歩八段を破り、決勝トーナメント進出を決めた。同時に1組昇級を決めた。ノンストップの6組から1組昇級は佐藤天彦九段以来で5人目と思う。5期連続優勝はいない。ランキング戦連続優勝は、藤井王位棋聖の4期連続が初で、今期はその更新がかかっている。昨日渡辺明名人が八代弥七段に敗れた為、2組決勝戦は藤井王位棋聖対八代七段戦になった。

 

 新聞やテレビの報道を見る限り、あまり大きくは取り上げられなかったようだ。竜王戦というとデビュー以来の29連勝ということで、6組優勝者の藤井四段と5組優勝者の増田康宏四段との対局。30連勝目の藤井四段対佐々木勇気五段戦があった。藤井四段のプロ入り初敗戦であった。その後は翌年に増田康宏六段にリベンジを許し、その翌年は豊島将之竜王に、その翌年は丸山忠久九段に敗れ、ランキング戦は全勝なのだが決勝トーナメントでは4敗を喫している。藤井王位棋聖は持ち時間の長い対局に強く、5時間以上の持ち時間では、この竜王戦で4敗の他は順位戦で1敗で、後タイトル戦では全勝である。棋聖戦は4時間である。ともかくよく考えるのは藤井王位棋聖の対局姿をご覧になった方は感じるであろう。プロ棋士の感想でも、藤井王位棋聖がよく考えることをあげていた方があった。史上最年少とか、史上初とかが付かないともう話題にもならなくなったのかな。しかし今回はややとは言え逆転勝ちになった方だと思うから、松尾八段の実力を再認識したな。