昨日は竜王戦で藤井王位棋聖対広瀬章人八段戦があった。藤井王位棋聖が勝ち、ランキング戦無敗の22連勝を決めた。藤井王位棋聖の高校退学のニュースが流れた後の最初の対局で注目を浴びた対局でもあったが、大学在学中の王位獲得の広瀬章人八段と高校中退を決めた藤井王位棋聖ということで、対照的な二人の棋士ということで、私も注目をした。将棋の棋士にとって学歴は必要かという問題だが、これは答えははっきりしている。将棋に関して言えば、学歴は関係ないどころか、有害無益である。ただ一人の人間として、高校進学や大学進学、最近では大学院進学をどう考えるかは、その人次第だと思う。故に藤井王位棋聖の決断を尊重したいし、褒め称えたいぐらいである。中学生棋士でも無い場合は、保険の為に高校ぐらいはと思う親心はわからないではないが、高校でそんなに大事なものが習えるとも思わない。学歴であれば、いつでも身に着けることができると思うのだが。10代や20代前半の頃は、才能を伸ばすべき年齢だと思う。問題はどんな才能を持っているかであろう。それが10代前半ではわからない。自覚できないわけである。

 棋士の学歴問題では、広瀬章人八段や中村太地七段の早稲田大学の先輩後輩で新人王戦を戦った話や、糸谷哲郎八段の大阪大学大学院進学や、最近では谷合廣紀四段の東大大学院在学中の四段昇段の話が話題になっている。これらについては以前にも書いたと思うが、将棋の棋士としてはもったいないことをしたというのが、私の見立てである。糸谷八段と中村太地七段は四段昇段同期であるが、17歳四段である。羽生世代が滅茶苦茶強くて数が多いので、あまり「花の何々」と呼ばれなくなったが、広瀬、高崎世代も糸谷世代も強く、永瀬、菅井世代も強いのが数多く出ている。広瀬八段は大学在学中にタイトルを獲得したが防衛は出来なかった。竜王位獲得したが防衛は出来なかった。糸谷八段も現在棋王位に挑戦中である。しかしまだ八段である。中村太地七段はタイトルを獲得したのにまだ七段である。谷合四段は17歳で三段である。14歳や15歳で四段は特殊である。天才中の天才である。中原誠十六世名人は17歳で四段であるが、20歳でタイトル獲得している。屋敷伸之九段は16歳で四段になり、18歳でタイトルを獲得した。普通の意味での天才なのである。

 私は高校生の時に東大文一の定員を調べたことがある。当時630名だったかな?大体毎年三千人ぐらい東大に入るらしいとわかった。私は安心して、まだ遊べると思った。奨励会は30人もなかなか取らない。今は東西同数に近いらしいが以前は関東の方が2倍3倍近く合格者を出していた。大学合格には以前は18歳という年齢制限があった。今でも17歳までぐらいかな。以前は大検と言った試験は中学生で十分に合格する力は身に付けられる。年齢による差別が厳然と存在している。日本は天才を潰すシステムを頑固に作っている。体が未発達な少年をスポーツでは無理に大人と同様な事を求める。頭の方では、心が未発達だからという。囲碁の世界では11歳の少女がプロの九段を負かしていたりする。環境と師匠やライバルに恵まれるかどうかだと思う。故村山聖九段が健康だったらと思う。山崎隆之八段ももっと早くA級に昇級したのではと思ってしまう。糸谷哲郎八段ももういくつものタイトルを取り、九段に昇段していたのではないかと。奨励会は四段を作るシステムではないと前から言っているが、そろそろ変更してもいいのではないかな。囲碁界は初段からプロ棋士なのだから、もう少し将棋界もプロになる制限を緩くしてもいいのではないかな。