期待していた女性初の四段誕生は今期絶望的となった。前回の三段リーグで連敗して、黄色信号がともっていた西山三段は更に連敗を喫し7勝7敗となった。残り全勝しても11勝7敗では、次点の可能性もほぼゼロに近い。伊藤三段が星を伸ばし12勝2敗であり、古賀三段が10勝3敗で2位である。古賀三段は西山三段と並んで次点保有者なので、ほぼ昇段は間違いないであろう。次点2回で四段になった場合、フリークラスからの出場なので、順位戦は遅れる。しかし佐々木大地五段がフリークラス1年で順位戦C級2組に昇級したので、次点2回の新四段にも期待されるようになった。現在通算勝率7割以上の佐々木大地五段が、順位戦も竜王戦も昇級していないのは、ちょっと不思議なことだ。おそらく上がり始めたら、爆発的に昇級していくのではないかな。ちなみに藤井二冠に3局以上指して勝ち越している数少ない棋士の一人である。豊島竜王、久保九段、大橋六段と佐々木大地五段を含めて4人しかいない。ちなみに大橋六段と佐々木大地五段と藤井二冠は順位戦同期である。藤井四段は全勝昇級したが、二人は共に8容2敗で昇級を逃した。そして今もC級2組に在籍している。今期は二人とも全勝なので是非とも昇級してもらいたい。本当に順位戦は棋士にとって泣き笑いが大きい棋戦である。

 西山三段は次点を保有しているのでわずかながら可能性を残しているが、次期の三段リーグを考えると勝ち越すことが重要である。序列一位なので相星だと上位につける。警戒されながらも勝ち越した実績は、やはり大きい。仲間内の評価はかなり正しく、それは奨励会在籍時でも変わらない。郷田三段がなかなか四段昇段しなかった時、先崎四段(当時)が心配している記事を読んだことがあるが、郷田三段はその後四段昇段を果たした後爆発的に勝ち、四段でタイトルを獲得した。その後昇段規定が改正され、四段でタイトル挑戦をすると五段昇段となっているので、四段でタイトル獲得は郷田四段ただ一人である。本田奎四段が久しぶりに四段でタイトル挑戦したが、獲得はならなかった。その他木村三段も四段昇段がなかなか出来なかった事を心配された棋士である。結局23歳で四段昇段を果たしたが、その後の活躍は素晴らしい。しかしタイトル挑戦6度にして獲得ならずは、森下九段以来であったが、7度目の挑戦で王位を獲得した。しかし藤井棋聖の挑戦を受け王位陥落はまだ記憶に新しい。苦労してタイトルを獲得して、翌年若手のバリバリに挑戦されてタイトルを失うのは、運がいいのか悪いのか、よく分からない。人々の記憶に残るという点では幸運だとも言えるのだが。

 さて西山三段が今期勝ち越して、次期の三段リーグを突破して四段昇段を果たしたら、史上初だからどれぐらい騒がれるであろうか。史上最年少もマスコミはお好きだが、史上初も好きだろう。少し早いかもしれないが捲土重来を期待したい。