昨日安倍首相が辞任を表明した。最近の様子では辞任するかもしれないと心配していた。別に自民党支持者でもない私が、安倍首相辞任を心配していたのは、やはり後釜の心配である。今のところ与野党見渡しても安倍首相以上の人材はいないように見える。早速動き出した自民党総裁選に名前が出るのは、やはり「帯に短し襷に長し」ではなくて、総理総裁には器不足の人ばかりのように思える。ここの所ひどくなっていた安倍下ろしの風はとうとう持病の悪化を招き、首相辞任まで追い込んでしまった。マスコミは無責任なので、辞任のニュースを追いかけた後は、今度は自民党総裁選のニュースを追いかけている。芸能ニュースを追いかけるかのような、軽薄な対応である。

 そもそも安倍首相の支持率低下の発端になったのは、森友学園問題であろうと思う。国会で「私や私の妻が関係しているのであれば、総理いや議員も辞職する」と言ってしまった。身の潔白を信ずるあまり、勇み足的な発言であった。あったことをないことにし、ない事をあったことにするぐらい朝飯前のマスコミはすぐ食いついた。野党も乗っかたのか、煽ったのか、裏で操ったのか知らないが、「森友学園問題」を大きく提起していった。そこに「忖度」した官僚が出て来て、問題が複雑で大きな問題になってしまった。これに味をしめて「加計学園問題」が起きた。日本の国家や、国民の利益や幸福をあまり考えない人々はマスコミの煽動に乗って、おかしなことを言い始めた。

 良くも悪くも安倍首相は坊ちゃん育ちの私大出身の政治家である。単なる政治家であるならば、官僚に軽くみられる政治家である。マスコミも早慶以外は軽く見られがちである。しかし安倍首相は政治家の家系で岸信介元首相の孫である。善意の塊と言ってはなんだが、金や地位にそれほど執着する必要のない育ちである。有能さの点では祖父や父に劣るかもしれないが、人柄の良さでは優るとも劣らない政治家である。近くで接した人はその人の良さを褒めたという。

 1ヶ月程前、小学校以来の友人と安倍首相について話した時、3分の2の議席を得ているのだから、なぜ憲法改正に突き進まないのかと言っていた。3分の2というのは重い数字だ。国民の負託を受けたと思わないといけないのに、自民党内の一部や野党の口車に乗って、慎重な議論ばかりで前に進まないので、諦めムードになっている。現在の選挙制度では選挙区の事情で、当選しやすい党の公認や推薦を得ようとする。安倍首相は憲法改正や拉致問題を解決出来なかったこと、北方領土問題が進まなかったことなどを、やり残したことで上げていたが、マスコミはコロナ騒動を未解決のままで政権を投げ出すことを批判していた。今やマスコミがコロナ騒動の解決や鎮静化にブレーキをかけている張本人だとわかり始めている。昨夕5時からの記者会見でも、自分の所属名をハッキリと言わないテレビや新聞社が目立った。そしてマイナス点ばかりの指摘というか質問が多かったように思う。自覚しているのか、自覚していないのか分からないが、公正ではないと思った。

 安倍政権が長期政権になったのは、一にも二にも国民が選んだからである。今回も自民党内だけで決めると言って、議院内閣制を否定するかのような発言をするマスコミ関係者がいるが、、もし議院内閣制に反対して大統領制にしたいのであれば、憲法改正を叫ぶべきであろう。戦後70年以上に亘って憲法改正をしないのは世界でも稀有であり、皆無ではなかろうか。最後の一年に期待を寄せていたが、安倍政権の下、憲法改正がならなかったのは残念なことである。もう私が生きている間に憲法改正はないのかな。それともヒットラーみたいな人物でも出てこない限り無理だというのか。冷静な判断ができるか不安だと言って辞任する安倍首相はやはりいい人である。