現在の社会科などの教科で、民主主義はどう位置付けられているのだろうか。前回「ゾンダーコマンド」について、少しばかり触れたが、あのシステムを開発したナチスは、第一次世界大戦後のドイツで生まれたものである。あまり知らない世界の事を語るのは、一応差し控えた方がいいのかもしれないが、私の学生時代では「ナチスは民主主義の制度の下、ドイツ国民の圧倒的支持を背景にして、ヒットラーは総統になった。」

と教えられたと思う。当時の教科書「倫理社会」では、直接民主主義の古代ギリシャは衆愚政治に陥り、衰退していったと教えていたと思う。つまり「民主主義」は絶対的な善として教えられていたわけではなかった。自由と民主主義を標榜して、20世紀最も栄えた国「アメリカ合衆国」は今どの様になっていくのか。民主党と共和党の二大政党制であり、大統領制である。映画俳優でも不動産王でも黒人でも大統領になれる国である。21世紀の現在「自由と民主主義」は守られるのであろうか。

 以前分断国家について触れたことがある。東ドイツは西ドイツに吸収される形で東西ドイツは統一された。南ベトナムは北ベトナムに吸収されて南北ベトナムは統一された。現在残っているのは極東の二つだけである。中華人民共和国と中華民国。朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国。南北朝鮮は朝鮮戦争を経て現在休戦中である。現在の大韓民国の政権はどうやら核保有国の朝鮮民主主義人民共和国と南北統一を果たしたいようである。中華人民共和国は武力統一も辞さない構えのようだ。戦争が嫌なら統一を飲めということなのか。「人民の人民による人民のための政治」と言ったのはアメリカの大統領であるが、今人民共和国はどちらも共産主義国家である。翻訳の問題もあるのかもしれないが、なかなか面白い問題である。ナチスがユダヤ民族を虐殺したのは、600万人とも言われている。半分以下の主張もあるようだが、私にはわからない。中華人民共和国が実施しているチベット人抹殺やウイグル人強制収容は、合わせれば数百万人になるといわれているが、「国際連合」は何も動かない。「中華民国」から「中華人民共和国」に鞍替えしてしまった。日本も「中華民国」を切り捨てた。

 「民主主義」とか「人民」とか言えば「正義のミカタ」になれる時代は終わった。「不断の努力」でしか「民主主義」は守れない。そのための「言論の自由」であり、「学問の自由」である。「権利を有する者は義務を負う者である。」当たり前に教えられてきたものが、次第に遠のいている感じがしてならない。マスコミ関係者は特に「マスゴミ」などと言われないように、努力を惜しまないようにしてもらいたい。21世紀が独裁政治の世紀と、後世の人々に言われないように頑張ってもらいたい。