第3回AbemaTVトーナメントが終了した。今回も大盛況だったようだ。観る将を増やした功績は大だな。ちょっとしゃしゃり出過ぎと感じる部分もあるし、プロ棋士に対してちょっと失礼ではないかなと思う部分もある。まあ将棋界は閉鎖的で、「おらが大将」的なところもあったからな。まあ世間の荒波に揉まれるのもいいのかもしれない。しかしいつでもNOと強く言える組織であってほしい。 

 第3回AbemaTVトーナメントは初の団体戦で、しかもドラフトを実施したのも画期的であった。タイトル保持者とA級棋士等によるリーダーがメンバー二人を指名して、重複したらクジ引きという新システムを導入した。過去2回は個人戦で、先後2局を指し、1勝1敗になったら振り駒による一番勝負になる。藤井二冠に2勝あげる棋士はいなくて、2連覇を藤井二冠が達成していた。藤井二冠は大体予想を裏切るというか、上回るというか、藤井二冠に優勝してもらいたいというAbema側の思惑はあったと想像されるが、簡単に2連覇されてこれでは面白くないと思ったのか、団体戦を思いついたと思う。ドラフトは色々とリーダーの思惑が錯綜したのか藤井指名は二人だけで、永瀬二冠があっけなく手中におさめた。そして二人目も増田六段は重複したが、これもあっさりと永瀬二冠が手中にした。その他佐藤康光九段がレジェンド二人谷川、森内の両永世名人を指名した。フイッシャールールの超早指し戦は若手が有利ということで、若手棋士の指名が多い中、佐藤会長の指名は会長でないと出来ないことだと言われた。しかし12チーム中最年長トリオは第3位となり、時間が短くても強い棋士は強いと証明してくれた。特に森内九段は藤井二冠も破り、今回最優秀の成績ではなかったかな。それから藤井二冠が連敗することはあるまいと思われていたが、広瀬章人八段が連勝を果たして、藤井二冠も敗れることがあるとわかり、ハラハラドキドキ度が増すことになった。準決勝ではチーム永瀬とチーム康光の対戦は最初チーム永瀬の3連勝で始まったが、その後チーム康光の反撃にあい4勝3敗となった。藤井二冠が佐藤康光九段を破り決勝進出を決めたが、これの反省があったのか、決勝戦は3連勝後も藤井、永瀬の両二冠が出場して優勝を決めてしまった。近藤七段の「決めに来たんですよ」という言葉に勝負師の矜持を感じた。控室の様子を実況したのもなかなかな取り組みだったな。

 Abemaの後に、西山三段の結果を知り、気落ちして前回は書いたので、あまりAbemaTVトーナメントに触れていなかったなと思い、今回書いているが、西山三段の連敗はつくづく最悪である。6勝2敗でも昇級昇段を果たすであろうと思っていたが、負ける相手が違っていた。残りの相手は4勝2敗でもなかなかきついかなと思われる相手である。仮に4勝2敗だったら11勝7敗である。そうなったら伊藤三段と古賀三段に上がってもらって、次回を狙うしかないか。本当にきつい三段リーグである。上野三段や片山三段もおそらく四段以上になるべき人なのだろうし、ほかの20代の三段もあきらめていないであろう。

 今回C級2組の降級点が改正されたが、それよりも三段リーグでの昇級点の創設をお願いしたい。13勝以上あげたら、人数にかかわりなく昇級点を与え、昇級点2回でフリークラス入りを認めたらいいのではないか。次点は12勝6敗でも次点なのだから、運不運の要素を小さくしてやる必要はあるのではないか。

 余談であるが、賞金の使い道を聞かれた優勝メンバーが、二人の二冠は安い物を口にしていたが、増田六段は車を買いたいと。非公式戦の優勝で車を買えるというのは、時代が変わりつつあると思った。