NHKスペシャルの「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」の再放送を見た。怒りで腸が煮えくり返るようであった。アメリカに対しても、ソ連に対しても、そしてNHKに対してもである。あたかも無条件降伏が遅かったので、2発も原爆が落とされたように描かれていた。3発目を皇居に落とせばいいと言っていたアメリカ人がいたというのは、アメリカ人がいかに野蛮人が多かったかの証左になったのではなかろうか。イギリスの放送局に対してだったが、とても文明人がすることではないと言っていたのは痛快であった。

 核兵器廃絶運動は、いくつかの段階に対して反対している。一つは核兵器の使用である。今のところ日本が唯一の核被爆国であるが、核実験の過程で被爆した人々がいるとも聞く。核兵器を使用したらどうなるかは、もう大体のところは承知しているはずである。人類を滅亡に導く兵器である。ベトナム戦争の時に、アメリカ国内で核兵器使用が検討されたと聞く。デマだと信じたいが、現在でも100万人のアメリカ兵の命を救ったという言論があるというのが、デマだと一概には言えない理由である。

 二つ目は核兵器保有である。これには戦争抑止力になっているというのが、核兵器廃絶に反対する人々の意見である。国際連合の常任理事国はすべて核兵器保有国である。その他イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮が核兵器を保有していると言われている。北朝鮮が国内でいかに餓死者が出ても核兵器の製造、実験に邁進したのは核兵器の保有国になれば他国からの攻撃を回避出来ると信じたからだともいう。現在核兵器保有国は、核拡散防止条約には反対しているようだ。色々言っているようだが、既得権益を離したくないのだろう。

 三つめは核兵器製造である。これが一番問題になっているのではないかな。テロ集団に核兵器が渡ることを心配していたが、今やテロ集団が核兵器の製造能力を身につけているのではないかと心配されている。日本は核兵器保有国になるのではなく、いつでも核兵器の製造能力を持っていますよで、進んでいくのが一番現実的ではないかといっている人がいるという。面白いと思うが、能力があれば作りたくなるし、作れば少なくとも実験はしたくなる。核実験に成功して、興奮してトルーマン大統領に報告しているアメリカ人将校を見ていると、人間は罪深い存在だなあと思わずにはいられない。やはり道は遠いけど、核兵器廃絶運動は、三つの段階に反対するしかないと思うのだが。

 核兵器を使用したアメリカには、どんなに非人道的なことをしたか、反省してもらわないといけない。それにはやはり原爆の悲惨さを、アメリカ人に理解してもらわないといけない。そして全人類の共通認識にならないといけない。「核兵器はNO」と。