戦後75年が経過した。8月に入ると、原爆や終戦関連の記事や放送が数多く垂れ流しされる。もちろん有益な内容なども多いのだが、有害無益というより、毒々しい内容のものも数多い。戦前というと昭和10年代が取り上げられる事が多くなったが、昭和10年代は戦前ではなく、戦中である。昭和20年8月15日を基準にして、戦前戦後と呼ぶのはやめたほうがいい。しかし今や「戦争知らない子供たち」は大半になってしまった。すでに「昭和20年8月15日」は基準にさえ、なりえなくなってきている。

 平成12年、西暦2000年にニュージーランドにいた。修学旅行の下見でニュージーランドのあちこちを見て回った。ある公園みたいな所で休憩していた。戦死者を弔う為のイベントが行なわれていた。時の首相と前首相が出席していると聞いてしばらく見守ることにした。首相も前首相も女性だったように見えた。警護が随分と簡素だと思った。私達は外国人だが、別に何の警戒もされていなかった。現地のガイドに聞いたら、第一次世界大戦の戦死者を弔うものだったらしい。イベント終了後近くの記念館みたいなところに入ってみたら、やはり第一次世界大戦の記念館だった。ニュージーランドは大英帝国の一部だったので、もちろん第一次も第二次も戦勝国なのだが、やはり戦争による被害はあったのである。当然のことである。戦勝国であろうと、敗戦国であろうと、戦争による被害はどちらにも生じるのである。

 昨日NHKスペシャルの「渡辺恒雄 戦争と政治~戦後日本の自画像」の録画を見た。右左で言うと「産経ー読売ー毎日ー朝日」というのが我々の常識であるが、読売新聞の主筆である渡辺恒雄は右翼ということになる。その右翼と思われる人物が戦争責任として、「何百万人も殺し、国土を焼け野原にしたした」責任を口にしていた。日本は独立国で言論の自由があるというのであれば、何故日本を焼け野原にしたのも、原爆を投下したのもアメリカと言わないのか。ABCD包囲網というが、主に日本をやっつけたのはアメリカである。日米開戦まで持って行ったのはF・ルーズベルト大統領であり、原爆投下の命令を下したのは、トルーマン大統領である。負けたからといって、余りにも卑屈になるものではな い。日本側に全く戦争責任がないとは言わないが、あっても五分五分である。

 戦時中に戦争を煽ったのは、日本のマスコミである。日露戦後ポーツマス条約に反対して交番焼き打ち事件を起こしたのは、日本の民衆である。どうしたら戦争が避けられるのか、どうしたら平和を長く保てるのか、本当に真剣に考える時期が来ていると思うのだが、いかがであろうか。