先程棋聖戦第1局藤井七段対渡辺棋聖の対局は大熱戦で藤井七段の勝利で終わった。最後は渡辺棋聖の連続王手で、途中詰み筋もあったらしいが、藤井七段が秒読みの中正確に逃げて最後は逆王手をかけて勝ち切った。逆王手は渡辺棋聖がかけさせた感じである。今回は珍しく藤井七段も、ずっと50%以上だったのに、終盤では1度か2度渡辺棋聖が50%以上になった。やはり渡辺棋聖はただ者ではない。名人戦と並行して対局があるが、名人位を取るかもしれないと思った。豊島竜王名人はまだ防衛戦は勝ったことがないのではなかったかな。余程棋聖戦で苦汁を飲まない限り、名人戦は渡辺棋聖は有利かなと思った。

 振り駒の結果藤井七段の先手になった。8時45分ごろに対局室に入った藤井七段は和服ではなく、スーツ姿だった。和服姿を期待していたマスコミやファンは少しがっかりしたかなと思うが、好い選択だったと思う。対局室がホテルや旅館ではなく、東京将棋会館だったし、挑戦決定から僅か4日しか経っていない。わざわざ不利になることはしなくていいと思う。恐らく準決勝、決勝は東京滞在のまま対局したのだと思う。一度実家に戻ったと思うが、すぐに上京しての対局である。リスクの高まる移動を伴う対局である。精神的な疲れはあると思う。今日も対局終了後リモートによる記者会見があった。まだ1局終了しただけなのに、気の毒な話である。相手は高校生である。いくらプロ棋士と言ってももう少し配慮してあげられないものか。しかもなぜ和服着用ではなかったのか、誰に相談したのか、など将棋とは関係ない質問が多く出たのが心外だった。

 さて先手の藤井七段は初手お茶のあと、7六歩と突いた。角換わりかと思われたが、矢倉の出だしだった。少し予想を外されたのか、渡辺棋聖は少考を繰り返した。消費時間が藤井七段より上回っていたのは意外だった。9時の対局開始だったので、昼食休憩までは3時間あった。ほぼ同じ消費時間だった。午後からは藤井七段が長考を繰り返し、1時間以上の時間差が出来た。中盤は藤井七段がうまく指し、55%前後の差をつけていた。通常藤井七段が中盤で55%以上の差をつければ、そのまま勝ち切ってしまうのだが、さすがに渡辺棋聖はそのまま崩れたりはしなかった。4六金の勝負手を放ち、藤井七段は飛車をたたき切って、渡辺玉に迫った。一目無理筋と思われ、解説の郷田九段は、後手持ちに変わった。AIはまだ55%ぐらいで藤井持ちだったが、郷田九段はAIの評価に反するようだが、私は渡辺有利とハッキリと言っていた。本当に藤井七段の評価値はわからないものだ。最終盤と思われる局面で渡辺棋聖が悪手を指した。しかしなかなか難しい局面で、香ではなく、歩を打てばわからなかったね、という結論を引き出した。お互いに、これからやれるぞと思ったのではないかな。楽しみは続く。