昨日藤井七段対永瀬二冠戦があったが,藤井七段が勝利して棋聖位争奪の挑戦権を掴んだ。来週の8日にはもう第1局が指されることになっている。渡辺三冠と豊島竜王名人との名人戦も控えているせいである。藤井七段は今週2局である。来週は3局が予定されている。今月だけで8局の対局で、いずれも大事な対局である。王位戦挑戦まで後2勝。王座戦は後5勝かな。竜王戦も師弟戦が20日に決まった。竜王戦も後5勝かな。テレビを見ていたら、実現可能な史上最年少記録を5つほどあげていた。八段は18歳3カ月で、もう無理と思ったが、タイトル2期獲得で八段昇段というのがあった。A級八段はもう無理だが、棋聖位と王位戦挑戦権を獲得してタイトル奪取すれば、八段昇段である。なるほど可能性だけでもよく調べているなと感心した。高見叡王、菅井王位、斎藤王座はいずれも防衛戦に失敗をして、タイトル失冠後は七段の肩書になっていた。A級昇級を決めて菅井八段、斎藤八段となったが、高見前叡王は七段のままである。しかしC級1組に昇級したので、A級昇級も夢ではない。しかし屋敷九段のように長いC級暮らしが待っているかもしれない。まだ26歳、捲土重来を期して連続昇級をしてもらいたい。

 さて藤井七段対永瀬二冠戦だが、50:50が長く続いた。流石に永瀬二冠はリードを奪われないように慎重に指し進めていた。55:45で永瀬リードという場面もあったが、結局50:50に戻ることが多かった。しかし藤井七段が50を超えることはなかった。面白かったのは55:45となっていたものが、一手も指していないのに52:48とかに戻ることであった。AIもよく読むとそれほどでもないと読んでしまうのか。解説の飯島七段も村中七段も、永瀬二冠有利と読んでいた。私もこのまま永瀬二冠が押し切るのではないかと思っていた。ところがそうでもないと思っていたのが当の永瀬二冠だったようだ。後手の藤井七段の2六桂が飛び出し、無視して寄せに入るのかと思ったら、2九銀とかわした。あれ、寄せがないのかなと思ったら、どうやら早い寄せはなかったようだ。3六銀の勝負手が飛び出し、永瀬二冠の本日最長になる長考に入った。解説陣も永瀬二冠の長考で、どうも永瀬二冠が難しいと思っていることに気づき、検討にも熱が入ってきたが、長考の末指された6九王を見て愕然とする。4八金打ちで永瀬優勢が、この時初めて藤井の方に針がふれた。逆転である。こちらの心境としては、大逆転という感じだったが、感想戦では永瀬二冠が3六銀で応手がわからなかったと言っていた。4八金打ちの検討をしていたが、藤井七段の攻勢の前で、なかなか有利な局面に誘導出来なかったようだ。

 最終盤戦でマスクを外して追い込んでいった藤井七段、やはりただ者ではなかった。天才とはわかっていたが。