1836年、2歳の王女は肖像画の中で眠っていた。人形を抱えた少女の肖像

絵画の中には、見た瞬間に「なぜ?」と思ってしまう作品があります。


今回紹介するのも、そんな一枚です。


フリードリヒ・フォン・アメリング《マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像》


1836年に描かれた作品です。


タイトルだけを見ると、普通の王族の肖像画に思えるかもしれません。


でも、絵を見てみると少し違います。


そこに描かれている少女は――

眠っています。

眠っている2歳の王女

この少女の名前は、マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン


1834年生まれなので、この肖像画が描かれた1836年には、本当にまだ2歳でした。




肖像画というと、モデルがこちらを向いて姿勢を整え、身分にふさわしい姿で描かれているものを想像します。


ところが、この少女は目を閉じています。


眠ったままです。 


それだけでも、この絵には独特の静けさがあります。

腕の中にあるもの

さらに絵をよく見ると、もう一つ目を引くものがあります。


少女が腕の中に抱えているもの。


それは――

小さな人形です。



眠りながら、人形を両腕で抱えています。


小さな手。

小さな腕。

そして、眠っている表情。


「王女」という言葉から想像する華やかな姿とは少し違って見えます。

赤く染まった頬と柔らかな巻き毛

顔に目を向けると、頬にはほんのりと赤みがあります。



そして、顔の周りを縁取るのが柔らかな巻き毛。



光を受けた髪の一本一本まで丁寧に描かれています。


こうして細部を見ていくと、豪華な衣装や王女という身分よりも、まだ幼い2歳の少女であることが強く感じられてきます。

「王女」ではなく「2歳の少女」

この絵を描いたのは、19世紀のウィーンで活躍した肖像画家、フリードリヒ・フォン・アメリング


アメリングは王侯貴族をはじめ、多くの人物の肖像画を手がけた画家です。


そんな彼が残したこの作品で印象的なのは、少女の身分を強調することよりも、眠っている幼い姿そのものです。



王女である前に、

2歳の少女だった。


そんな姿が、この一枚には残されています。

1836年の一瞬が、今も残っている

1836年。


マリー・フランツィスカは、まだ2歳。


眠りながら人形を抱えていた、その姿が肖像画になりました。



それから180年以上が経った現在も、私たちはこの絵を見ることができます。


当時の王女がどんな声で話し、どんな遊びをしていたのか。


そんなことは、この絵だけからは分かりません。


でも、


眠っていること。
人形を抱いていること。
赤く染まった頬。
柔らかな巻き毛。


そこには、2歳という年齢だけが持つ姿が残されています。

作品情報

作品名 : 《マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像》

作者 : フリードリヒ・フォン・アメリング

所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション


王女の肖像画なのに、そこにいるのはとても無防備な2歳の少女。


だからこそ、この絵を見ていると、遠い19世紀の王侯貴族という存在が、少しだけ身近に感じられるのかもしれません。


あなたには、この少女はどんな夢を見ているように見えますか?


名画は、見たままでは終わらない

今回紹介したのは、人形を抱いて眠る2歳の王女。


とても穏やかで、静かな一枚でした。


でも、絵画の中には――


一見すると可愛らしいのに、
よく見ると「ん?」と思う作品もあります。


少女と犬と猫。
朝の食卓。

一見すると、微笑ましい光景です。


ところが、この絵には
ちょっと気になるところがあります。


その意味に気づくと、


絵の見え方が変わってしまうかもしれません。

👇こちらの記事もどうぞ