今回は質問に答えつつ、「カップル内で、何をどこまで情報公開するか?」という問題について、考えていきたいと思います。
彼氏がポリアモリーぽくて私はそれに対して否定はしていません。
ただ私は他に付き合ってる人がいるなら教えてほしいとおもっていますが彼氏は言いたくないみたいです。
しかし、私は言ってもらうことで自分の中で納得できてすっきりできるのに言われないとずっとモヤモヤしてしまいます。
言って欲しいとおもうのは私のわがままなのはわかるのですが、、、
きのコさんは複数人と付き合うなかで全員に他にも付き合ってる人がいることをはっきり言うのですか?
ポリアモリーの人からしてそこをはっきり伝えておくのは当たり前のことなのですか?
「他に付き合ってる人がいるなら教えてほしい」という気持ち、すごくよく分かります。
私も、基本的には教えてほしいタイプのポリアモリーです。
「言ってもらうことですっきりできるのに、言われないとずっとモヤモヤする」というのも同じです。
まず、ポリアモリーにおいて重要なことは、「全員の合意」です。
自分が複数人と、そして恋人が複数人と付き合っているなら、全員がその関係に合意していることが大切だと思います。
私自身も、ポリアモリーとして複数人で交際する時には、他にも付き合っている人がいることを全員にはっきり伝えます。
最低限そこは伝えないとそもそもポリアモリーが成立しない、と考えています。
ただし、そこから先の情報をどこまで公開するか/しないか…という情報公開度は、それぞれのカップル毎に異なっていていいと思っています。
私個人は好きな人との関係においては「何でも言いたい」「何でも聞きたい」タイプなので、自分が恋人とどう過ごしたか(いつ、誰と、どこで、どんなデートをしたか、何を話したか食べたか、どう思ったかなどなど…)を他の恋人にも話したいし、自分の恋人が他の恋人とどう過ごしたかも聞きたいと思っています。
わりと驚かれるのですが、どんなセックスをしたかも言いたいし聞きたい方です。
ただし、私にとっては「まず最初に私に直接伝えてほしい」というところが重要です。
直接伝えてくれれば、ポジティブな反応もネガティブな反応も返しやすいからです。
いくら何もかも知りたいといっても、たとえば私の恋人が私の友達とデートしたことを、彼から直接聞く前に彼や友達のSNSで見かけたらムッとしてしまいます。
SNSに自分のことを書くのは、誰か特定の相手に対する報連相やコミュニケーションとはいえないので、一方的な情報に接するとモヤモヤしてもリアクションしづらくて困ってしまうのです。
でも、「XXXさんとデートしてくるね」と直接個別に連絡をもらえれば、気遣ってくれていると感じられるし、「いってらっしゃい、楽しんでね!」とこころよく送り出せるのです。
私自身、楽しいデートの話はどんどんSNSに上げたい方なので、それを見た恋人が嫉妬しないかな?嫌じゃないかな?というのは気にしています。
だから、SNSに書く前に直接ひとこと伝える、というのは大事にしているのです。
もちろん、これは恋人とお互いのSNSを見ている場合の話なので、逆に「恋人のSNSは見ない」という方法もアリだと思います。
相談者さんの「他に付き合ってる人がいるなら教えてほしい」という気持ちと、彼の「他に付き合ってる人がいても言いたくない」という気持ちの間には、乖離があります。
「言ってほしいと思うのは私のわがまま」だと最初から自分の気持ちを抑圧する必要はありません。
そのかわり、自分はなぜ言ってほしいと思うのか、彼はなぜ言いたくないのか、お互いの気持ちを掘り下げて言葉で伝えあえば、合意できる落としどころも見つけやすくなると思います。
ポリアモリー(ノンモノガミー)と一言でいっても、この辺の「言いたい/言いたくない」「聞きたい/聞きたくない」の感覚はカップル内でも人それぞれ違うので、ここを擦り合わせて、「何について・どのくらい・どうやって伝える/伝えない」を決めるのが大切。
全員で紙に書き出してみるとお互いの価値観の違いも分かりやすいし、より話がしやすくなります。
どちらが正しいとか、何でもかんでも情報公開する方が偉いとか、そんな優劣はありません。
どのような・どのくらいの情報公開が良いとか悪いとかいう基準はなくて、「その情報公開ルールにお互いが合意できるかどうか」だけが重要なのだと考えています。
さらに言えば、もし自分に3人の恋人がいたとして、3人全員に対して同じ情報公開ルールを使う必要もないのです。
何をどれだけ言いたいか聞きたいかは、3人それぞれ違うかもしれないからです(ただし、緊急時の連絡など、全員である程度同じルールにしておく方がいい場合もあると思います)。
あなたは恋人のことを、どのくらい・どのように知りたいですか?
恋人に自分のことを、どのくらい・どのように伝えたいですか?
「ポリアモリーだからこうあるべき!」と主語を大きくせず、あなた個人とあなたの大切な人たちにとって心地いい“情報公開度”はどれくらいなのか、皆で模索してみてほしいと思います。