先日、親戚の結婚式に参列しました。

ちょうど同性婚を巡る訴訟が起こされているタイミングでもあり、いろいろと思うところがあったので、今回は私が「結婚と、結婚式」について考えていることをまとめてみようと思います。
 

その日は、控室で親族同士が挨拶しあう時間が設けられました。

スタッフの方が、「新郎の親族から先にご紹介を」と声をかけます。

そう言われて改めて気付いたのですが、結婚式って、親族同士の挨拶だけでなく、何においても「新郎が先・新婦が後」なんですよね。

今回は神前式だったのですが、榊を供えるのも、祝詞を読み上げた後に名乗るのも、もちろん三々九度も、新郎が先・新婦が後。

まぁ、何もかも同時にやるわけにもいかないので、どちらにせよ順番はつくのですが、ちょっとモヤモヤする気持ちもあったり……。

私が新婦側の親族だから、余計に気になったのかもしれません。

モヤモヤといえば……と、自分自身の結婚式のことを思い出しました。

「ファーストバイト」って、ありますよね。

新郎と新婦が、でっかいスプーンで互いにケーキを食べさせあう、結婚式の披露宴の中でも一番キャッキャウフフ感のあるアレです。

新郎が新婦に食べさせる一口は「一生食べるものに困らせないよ」、新婦が新郎に食べさせる一口は「一生おいしいごはんを作ってあげる」という意味が込められているんだとか。

このことを知って、「コレは私には合わないやつだ……」と思ったのを覚えています。

私自身は夫の稼ぎで食べさせてもらうつもりがなく、また夫に料理を作ってあげるつもりもなかった(私は料理するのが苦手だし食べることにも興味がない一方、夫はとてもグルメで料理が趣味のひとつでした)ので、ファーストバイトなんてやったら茶番になっちゃうな、と思いました。

そもそも、「夫は妻を食べさせるもの、妻は夫に料理を作るもの」というジェンダー規範にも抵抗を感じます。
(もちろん、ファーストバイトしたい!というカップルの方には、思いっきり楽しんでほしいと思います。)

 

それから、結婚式における親の扱いって難しいものですね。

もちろん親も子供の晴れ姿は見たいものでしょうが、あまりにも親が前面に出ていると、私としては「A家とB家との結婚」という家父長制的な雰囲気を感じてしまいます。

私にとって、結婚は個人と個人とがおこなうものであって、夫婦は家と家とをつなぐかすがいではありません。

自分の結婚式では、とにかく「“XX家”や“親”を前面に出さない」ことにこだわりました。

いわく、親子揃ってのお出迎え・お見送りはナシ。

親への手紙の朗読や、花束の贈呈もナシ。

あくまでも、親と他のゲストを同じように扱うことを意識しました。

参列者の中には、そのことに怪訝そうな反応を示す人もちらほらいましたが……

親から新郎新婦へのお祝いの言葉を述べるにあたって、「まだ未熟者の2人ではありますが……」みたいな“親っぽい”発言もナシ、ということで、挨拶の内容に親はずいぶん頭をひねってくれたようです。

ちなみに「家同士でなく、個人同士の結婚だってことを大切に」というのは私の母親からの提案でもありました。

親の側からそう言ってもらえて、安心したものです。

こうして見てくると、ジェンダー規範とか家父長制がチラチラ見え隠れする結婚式って規範意識のかたまりだな~、と思ってしまいます。

でも、結婚式にはもっといろいろな形があるはず!

ポリアモリーの人たちって、どんな結婚式を挙げているんだろう?と調べてみました。
 

アメリカやタイでは、3人カップルが結婚式を挙げた例があるそうです。

ただし、法的には無効なもので、あくまでも結婚式だけを挙げたということのようです。

海外のポリアモリーの人たちは、「Commitment Certificate」と呼ばれる、お互いの愛やコミットを誓いあう書類を作ったりするそうです。

日本の結婚式のならわしでいえば、婚姻届よりは「誓いの言葉」や「祝詞」といった感じでしょうか。

このことを知って私が感じたのは、「法律婚を伴わない結婚式って、何のためにやるんだろう?」という疑問でした。

振り返ってみれば私個人は、結婚式は自分が楽しいからというより、周囲への「法律婚をしたことのアナウンス」としてやるものと考えていたので、法律婚抜きの結婚式そのものについては、あまり必要性を感じていなかったのです。

逆にいえば、法律婚をするなら結婚式とセットじゃなきゃ!と思っていたので、結婚式の日と法律婚の日を合わせる、つまり、結婚式の当日に婚姻届を提出することにはこだわりました。

とはいえ、婚姻届にもやっぱりロマンは感じていないので、朝から夫単独で役所に行ってもらって、私は式場で着替えに追われていましたが……
 

結婚式を挙げれば、「周りの人に夫婦であることをアピールして、夫婦として扱われることを期待できる」という効果はあると思います。

日常生活を送るうえでは、結婚式を挙げていれば、というか“夫婦”だと周囲に認識されていれば、ある程度は困らなさそうです。

しかし、法的に結婚していないことで困るのは、事故や病気など、カップル内の誰かに万一のことが起きたとき。

あるいは遺産相続ができなかったり、「同棲している家がパートナー名義の契約だった場合、相手が死亡した場合は住み続けられなくなる」というケースもあります。

別れるときの親権争いやマンションの賃貸契約においても、「法的には夫婦でない」という状況は不利に働くことがあるようです。

そういうことを考えると、私自身はどれだけ盛大な結婚式であっても、法律婚と結びつかない形だけのものなら、やろうとは思わないかもしれません。

単なるお祝いよりは、「法律婚ができないことで発生するかもしれない問題を、どう防ごうか?」ということを皆で(カップル内だけでなく、周囲の人たちも含めて)考えることの方を優先したいかな、と思います。

法律婚と、結婚式。

「法律婚できれば、結婚式は挙げなくてもいい」
「結婚式が挙げられれば、法律婚できなくてもいい」

もし選ぶなら、あなたはどちらでしょうか?

自分にとって、結婚式とは何なのか。恋人たちとのパートナーシップを継続していくうえで、自分は何を大切にしたいのか。

自分のそんな価値観について、改めて考えを深めた結婚式の経験でした。