今回は、「自己肯定感を高める」ということについて考えてみたいと思います。
 

私はポリアモリーを語る上で、自己肯定感に行きついたところで話が“詰む”、ということに悩んでいました。

自己肯定感の低い人から「ポリアモリーな関係を築きたいと思っています。でも、パートナーに言いだせずに悩んでいます」と相談されても、私には「相手と自分を信じて、打ち明けてみましょう!」としか答えられません。

でも、それって「頑張れない」と悩んでいる人に「頑張れ!」と言うようなもの。

本人は自己肯定感が低くて打ち明けられないからこそ悩んでいるのに……と思うと、何も言えなくなります。

パートナーと健全なコミュニケーションをするためには、健全な自己肯定感が必要。

でも、自己肯定感は親や先生から育てられる中で子供のうちに身につくものだから、自己肯定感が低いまま成長した後には一体どうすればいいの?というところから、先に進めないでいたのです。

でも最近は、自己肯定感って、後からでも高められるのではないか?と考え始めています。

自己肯定感の高め方にもいろいろあるとは思いますが、「だからこそできること」を見つけられれば手っ取り早いというか、“効率的”かもしれません。

自分の特徴や自分が置かれている状況に対して、「だからこそできること」って何だろう、と考えてみる。

つまり、その状況における自分の役割を見つける、ということです。

たとえば身体的特徴や、得意/苦手な家事、家庭環境、食べ物の好き嫌い、今まで成功/失敗したこと。

そのことに価値があるかないか、ポジティブかネガティブかは最初は判断せずに、まずは素材として全部並べてみる。

一般的にマイナスに思えることでも、見方を変えればプラスになるかもしれません。

そうやって自分自身のことを把握できると、役割が見つけやすくなり、自己肯定にもつながりやすくなると思うのです。

とはいえ、自己肯定感って、自分だけで高めるものだとは思いません。

重要なのは、自分だけで自分を評価したり抱え込んだりせずに、うまく他人に頼ること。

カウンセラーや臨床心理士などの対話のプロフェッショナルと話すことも有意義だし、友人などもっと身近な人たちにも健康的に頼れればと思います。

そのためには、頼りになりそうな人を見極める力をつけて、上手に甘えることが大切。

上手に甘えるというのは、たとえば「褒め言葉を素直に受け取る」ということです。

「褒め言葉を素直に受け取る」って、自分だけでもできるようになることです。

というか、自分にしかできません。

たとえば他人からの褒め言葉を「単なるお世辞かも……」「実は嫌味では……」と考える癖があるなら、「自分にはそういう考え方の癖がある」と自覚するだけでも、言葉の受け止め方が少し変わるのではないかと思います。

自己肯定感とは、「自分が自分についてどう考え、どう感じているか」によって決まる、自分の価値に関する感覚。

つまり、最終的には自分の中で完結する感覚なので、他人からダイレクトに自分の自己肯定感を高めてもらうことはできないのです。

とはいえ、自己肯定感には、自分から少し離れた視点で自分を見つめる感覚が不可欠です。

そういう意味では、自分が他人を見るときのような感覚が必要だし、それは他人との関わりのなかで育まれるものだと思います。

自己肯定感は、自分1人の孤独な努力によって高めるものでもないし、他人から一方的に高めてもらうものでもない。

つまり、自己肯定感を高めるには、自分も他人も大切だということです。

たとえば、私は自分のことを割とカッコいいと思っています。

そして、私のパートナー達も、私のことをカッコいいと言ってくれます。

パートナー達がそう言ってくれるので、私はなおさら自分をカッコいいと思える。

でも、もし私が自分を微塵もカッコいいと思っていなかったなら、パートナー達にどれだけ褒められても、私はなかなかそれを受け止められないかもしれません。

自分1人でも自分は褒められるけれど、他人から褒められると、さらに自分で自分を褒めやすくなる、という相乗効果があるように感じています。

自己肯定感が低いって、自分の心の中にあるバケツの底が抜けているような状態。

これでは、どんなに他人から水(肯定)を注がれても、バケツはいっぱいになりません。

自己肯定感を高めるには、まずは自分で自分のバケツの穴をふさぐこと。

そして、他人から注がれた水を受け止められるようになることではないでしょうか。

バケツの穴をふさぐのは自分自身ですが、それによって他人からの肯定を受け止められるようになると考えています。

他人から肯定されずに育つと自己肯定感が低くなりやすい、というのは確かだと思います。
ですが、そういう人に対する即効性のある特効薬はなくても、他人の力も借りながら何年もかけて自分を「育てなおす」ことで、自己肯定感は少しずつ高めてゆけるものだと信じています。