巷でなにかと話題の「不倫」。

ひっきりなしに、芸能人や政治家の不倫ニュースが目に入ってきます。

私の周りでも、不倫をしている人は増えています。

特に多いのが、「独身の30代女性と既婚の男性」というパターン(ちなみに、私自身も一応「独身の30代女性」ではあります)。

そこで今回は、「不倫とポリアモリー」をテーマにしてみましょう。
 

私個人は、既婚者とポリアモリーもしくはオープンマリッジ[※]というかたちのお付き合いをしたことはまだありません。
 

※配偶者の合意のもとに、婚外に性愛関係をもつ婚姻関係のこと。婚姻関係にないカップルの場合は、オープンリレーションシップと呼ばれる。

ただ、年齢的にまわりに結婚している人も多いし、もし今後、既婚者と恋に落ちてしまったら……?と考えてみることはよくあります。

既婚者に限らず、パートナーがいる人を好きになってしまうといつも悩みます。

私が最近好きになった人にも彼女がいて、私としては彼女の合意を得て彼にポリアモリーな関係を構築してほしいとは思っているのですが、それを強要することももちろんできないし、難しいところです。

一方、私がポリアモリーであることをオープンにしているせいかどうかは分かりませんが、結婚している人からお付き合いをもちかけられることも、たまにあります。

もちろん、配偶者にも合意を得たうえでの交際なら異論はないのですが、こそこそと不倫相手にされるのはやっぱりイヤです。

「私の存在や私との関係が関係者に対して隠されている」ということに、自分が否定されているような寂しさを覚えるからです。

それに、自分が大切に想う人が「パートナーに嘘をついたり秘密をもったりするような人である」ということも、私の信頼感を徐々に損なってしまいます。

もし私を不倫相手にしてしまう人がいたとして、それが必ずしも悪気あってのことではないにしても、不倫というライフスタイルを今の私個人は受け入れることができません。

その人がどんなに深く私のことを愛していても、それが「不倫」というかたちで表現される以上、愛し方の価値観が合わないとしか言いようがないのです。

私を不倫相手としてしか扱えない(すなわち、配偶者に嘘や秘密をもつことしかできない)人と長期的に性愛関係を結ぶことは、私には難しいと思っています。
 

最初に書いたように、私の周囲にも、不倫をしている人は星の数ほどいます。

「誰もが」と言ってよいのでは?と思うほど、パートナーシップ外での性愛関係をもっている人が多いのです(同じ不倫相手と継続的な関係を築いているか、「一夜限り」を繰り返しているかは、人によりますが)。

そして、不倫をしている人たちが必ずしも配偶者を愛していないのかというと、そうともいえません。

セックスレスなのかと思いきや、夫婦のあいだに継続的に夜の営みがあるという人もいるのです。

また、興味深いことに、彼ら彼女らが必ずしもポリアモリーな関係を望んでいるわけでもありません。

不倫をしている人にポリアモリーの話をすることも多いのですが、「ポリアモリーより不倫の方が楽(あるいは楽しい)」と言う人も時にはいます。

オープンにして合意を得ることより、嘘や秘密をもつことの方が上手な人はままいるものですし、不倫していることについて苦しんでいない人に対して、私自身はポリアモリーを強要することはできません(「この人と恋愛したくないな」とは思いますが……)。

もし、不倫しているのがつらくてポリアモリーな関係を望む人がいたとしても、不倫の状態からポリアモリーに移行するのはなかなか難しいことだと思っています。

不倫の期間が長引けば長引くほど、ポリアモリーに移行するハードルが上がる(カミングアウトしたときに配偶者の合意がとりづらくなる)し、不倫そのものもバレるリスクが上がって続けることが難しくなっていくのではないでしょうか。

不倫とポリアモリーとの違いについては、よくご質問をいただきます。

ワンナイトだったり遊びとしての不倫はさておき、根底に「複数の人を同時に好きになる」というポリアモラスな性質があるとして考えると、その性質がポリアモリーというかたちに落としこまれるか、不倫というかたちに落とし込まれるかという「ライフスタイルの違い」がそこにあるのだと思います。

どちらのライフスタイルにも難しさがあり、それぞれに他人を傷付けたり自分が傷付いたりするリスクのある生き方。

私は必ずしも「不倫をしている人は誰しもポリアモリーへ移行するべき」と主張するものではありませんが、これらがまったく違う人間関係のあり方だということは、広く知られてほしいと思っています。