「ポリアモラスな人と、モノガマスな人がお付き合いするって大変そう……」という意見はよく頂くのですが、現実には、ポリアモラスな人とモノガマスな人の両方を含む構成のカップルは少なからずいます。
そして、ポリアモラスな人とモノガマスな人とのお付き合いのかたちは必ずしも、しばしば想像されているような「モノガマスな側の一方的な我慢」になるとは限りません。
今回は、ポリアモラスな人とモノガマスな人って実際のところどんなお付き合いをしているの?というリアルなカップル事情について、お伝えしていきたいと思います。
今でこそ安定したお付き合いを数年間にわたって続けている私と恋人Aさんですが、付き合い始めたころのAさんは、実はとてもモノガマスな人でした。
私がAさん以外の人も好きになったり付き合ったりするかもしれないということは最初から伝えていたし、彼もそれを理解していたはずではあったのですが、やはりポリアモリーを言葉だけで知ることと、実際に「自分の恋人が他の人とも恋愛をする」という状況を経験することは、Aさんにとって全く重みの違う話だったようです。
最初は私が他の人とデートすることに我慢していた彼ですが、次第に私たちの間には言い争いが増え、気まずい日々が続くようになりました。
何度も話し合って、私たちはいくつもルールを作りました。
たとえば「デートの前と後には連絡を入れる」「お泊まりはしない」「デートの相手はAさんに紹介する」などなど……。
世間一般の「恋愛ってこういうもの」「お付き合いってこういうもの」は一旦横に置いておいて、自分がどうしたいか、どうしたくないか、相手にどうしてほしいか、どうしてほしくないか、根気強く話をしていったのです。
また彼は、インターネットで私以外のポリアモリーの人たちと知り合い、「ポリアモリーである恋人とのお付き合いに悩んでいる」という相談をする中で、少しずつ様々なポリアモリー当事者の気持ちや考え方を知っていきました。
そして、私がどれだけ他の人たちを好きになってもAさんから気持ちが離れていくわけではないことを、彼は徐々に実感して安心していったのです。
お互いの間に信頼が積み重なるにつれて、たくさん作ったルールはだんだん要らなくなっていきました。
今ではシンプルに「お互いの予定はGoogleカレンダーで共有すること」「言いたいことは、ネガティブなことでも我慢せずに言うこと」だけがお互いの約束です。
もう一つ、私の知っているポリ‐モノカップルの話をしましょう。
ポリアモリーな彼は、最初は自分と同じくポリアモリーな女性とお付き合いをしていたのですが、あるとき彼女がもう一人できました。
その二人目の彼女が、ガチガチにモノガマスな人だったのです。
新しい彼女は、初めはもう一人の彼女の存在に我慢していましたが、やがて耐えられなくなり大爆発。
彼女と別れて自分とだけ付き合うよう彼に迫りました。
彼は話し合おうとしたのですが、感情的になった彼女にその余裕はありませんでした。
ついに根負けした彼は、ポリアモリーな彼女と別れ、モノガミーな彼女と同棲して1対1のお付き合いをすることに。
しかし、元カノ達はもちろん女友達と連絡を取ることも一切禁じるばかりか、すれ違った女性にふと目がいくだけでも怒り狂う彼女に、彼は少しずつ消耗していきました。
しかも、こういった悩みを相談できる知り合いもほとんどいないそうです……。
いくつか例を挙げましたが、他にもいろんなポリ‐モノカップルのあり方を見てきたなかで私なりに感じた、ポリ‐モノカップル(というか、あらゆるカップルを含む人間関係)が安定したお付き合いを続けていくために大切なことが二つあります。
まず一つは、カップル内のコミュニケーションを密にすること。
恋人としてのお付き合いにおいて、あなたが我慢して何もかもパートナーの価値観に合わせる必要はないし、逆にパートナーに我慢させて自分をすべて押し通すことも健康的とはいえません。
どちらかが一方的に我慢して不満を溜め込むのでなく、自分の考えや気持ちを伝え、相手の考えや気持ちを理解し、その違いをすりあわせてお互いに合意できるポイントを探してゆくコミュニケーションが欠かせないと思います。
二つめは、関係性を「密室恋愛」にせず、困った時には相談できる(もちろん、幸せな時には思いっきりノロケられる)友人をもつこと。
できれば同性と異性の友人、それからポリアモリーの友人とモノガミーの友人がいれば、より様々な意見がもらえると思います。
「恋は盲目」とはよく言ったもので、良い意味でも悪い意味でも、恋愛関係にある当事者たちは、自分たちの状況について近視眼的になりがち。
各人の気持ちや事情を汲みとったうえで客観的なコメントをくれる解説者的な友人は、大切にしたいものです。