今回は
「友達と恋人の違いは何か」
ということについて考えてみたいと思います。

皆さんにとって、
友達と恋人の違いは何ですか?

たとえば「性的接触の有無」?
それとも「会う頻度」でしょうか(友達とは月に1回くらい会えば満足だけど、恋人とは最低でも週に1回会いたい、とか)。

友達と恋人の違いに関連して、
ドラマや小説などの主人公が、

自分の友達が他の人と仲良くしているのを見て嫉妬心や独占欲を感じたことで

「この気持ち……もしかして、恋!?」

と気付く……みたいな展開ってあるあるだし

「男女の間に友情は成立するか?」

という議論もよく聞かれますよね(もちろんヘテロセクシャル(異性愛)の文脈において、ですが)。

また

「友達は複数いるけど、恋人は1人しかいないもの」

と考える人もいることでしょう。

私個人は、

友達(に対する友情)と恋人(に対する恋愛感情)とに根本的な違いがあるとは思っていません。
というより
「どうして友達と恋人とを区別する必要があるのか分からない」
といった方がより正直な感覚かもしれません。

まず男性も女性もそれ以外も、

すべての性別の人が恋愛対象となるパンセクシャルである私にとって

「同性だから友情、異性だから恋愛感情」

という区別は当てはまりません。

独占欲はそもそも誰に対しても感じたことがないし、

嫉妬心はなくはないけれど、

恋人だけでなく友達関係の中にも嫉妬は生まれ得るものだと思っています。

さらに私の場合、

友達も恋人も複数いるので

「複数か、1人か」

というようにそれらを区別することもできないのです。

「恋人とは性的接触をもつものだけど、友達とはもたないもの」

「相手とセックスしたくなったら、それは相手に対する恋愛感情でしょ?」

という意見もよく耳にします。

確かにそういう考え方・感じ方の人もいますが、

私自身は性欲は友情や恋愛感情ともちろん相関もするものの、

根本的にはまた別のベクトルをもつ感情だと捉えています。

友情や恋愛感情とは関係ないところで、

相手にムラムラすることもあるのです。

ちなみに恋人達とは付き合って3年たった頃からほとんどセックスをしなくなりました(でも、一緒にお風呂に入ったりハグしたり、そういうスキンシップはとても好きです)。


またそれ以外に

「お互いに好意があってセックスもするが恋人同士にはならないことを合意している、両想いの『友達』(としか表現のしようがない相手)」

もいるのでますます友達と恋人の違いがよく分からないのです。

そういえば最近、

頻繁に会う友達がいるのですが、

その話を知り合いにしたところ

「毎週のように会ってるって、もう付き合ってるようなものじゃない!」

と言われ、

「え、頻度の問題なの!?」

とびっくりしました。

こんな時いつも思うのですが、

「付き合う」とか「恋人」って、

本当に何なんでしょうね……。

分からないなりにあえて私にとっての友情と恋愛感情とを区別するなら、

それはグラデーションの濃淡のようなものでしょうか。

同じ相手に対して、

友情のような気持ちを感じることも恋愛感情のような気持ちを感じることもあるし、

その感情の比率は人によって違います。

たとえば

「あの人には80%の恋愛感情と20%の友情を感じるけれど、この人には40%の恋愛感情と60%の友情を感じる」

といった具合です。

さらにそれらの感情は波のように変化することもあり

「先月はあの人に恋愛感情(というか、激しい好意)を感じていたけれど、最近は友情(穏やかな好意)を感じている」

ということもよくあります。

総じて言えば、

他人に対する感情に「友情」や「恋愛感情」というカテゴライズがあるのではなく、

厳密には個々人に対する感情は1人ずつ異なるし、

同じ人間に対する感情もその時々によって異なるものなのです。

また出会った瞬間に、

たとえば外見から

「この人は友達枠」「恋人枠」

と相手を見極める人もいると思います。

前述のとおり私は友達と恋人の区別をしないので、

相手にそういった肩書を自分からつけることはなく、

基本的には誰に対しても

「友達でも恋人でもよい」

というスタンスで接します。

ただし

「この人わりと好き」

「めっちゃ好き!!!」

「あんまり興味ない……」

などの自分が感じる

「好意のグラデーション」

の感覚には敏感なつもりです(と言いつつ、何とも思っていない相手からでも好意を寄せられると、だんだん好きになっていってしまうところは、我ながら惚れっぽいなぁと思うところですが……)。

もちろん「めっちゃ好き!!!」な相手とは両想いになりたいものだし、

一生懸命口説いたりデートに誘ったりします。

けれど

「恋人になりましょう」

という告白をすることはまずありません。

「同じくらいの両想い」になれるのなら、

その関係性の名前が第三者的に見ていわゆる「友達」になるか「恋人」になるかは、

正直わりとどーでもいいのです。

もしかしたら友達と恋人の違いを明確にしたい人は「私」と「あなた」という当事者同士がお互いのことをどう思っているか以上に

「世間からこの関係をどう捉えられたいか」

という意識があるのかもしれません。

私はそこに興味がない人間なので、

その区別の必要性が分からないのかもしれないですね。