今回は個人的に非常に難しいテーマだと思っている

「ポリアモリーとメンヘラ」

についてお話ししていきます。
 

「ポリアモリーってメンヘラなのでは」

とはよく言われるのですが、

結論からいうとメンヘラな人もメンヘラでない人もいると思います

(もちろんモノガミーにも、メンヘラな人もメンヘラでない人もいるのと同じことです)。

今回はその中で

「メンヘラなポリアモリー」

について考えてみましょう。

複数人を好きになる性質であることと、

ポリアモリーなライフスタイルを実践することは、

相関はあるものの異なる事柄だと捉えています。

複数人を好きになる性質というのは、

生まれつきであれ、

後天的にであれ、

誰でももつ可能性があるものだと思います。

たとえ今までの人生で複数人を同時に好きになった経験がなかったとしても、

これからもそういうことが絶対にないとは言い切れません。

しかし複数人を好きになる性質の人が誰でもポリアモリーなライフスタイルを安定的に続けられるかといえば、

そうとは限らないと思っています。

そもそも複数人を好きになる人とひとくちにいっても、

各人がどのような付き合い方を望むかは人それぞれ。

自分の(そして相手の)選択として、

たとえば3人を同時に好きになっても

「付き合うのは1人とだけ」

という人もいるし、

「誰とも付き合わない」

という人もいるでしょう。
 

そのように複数人を好きになる人にも様々いる中で

「関係者全員の合意のもとで、複数の人と同時にお付き合いをする」

のが、

ポリアモリーなライフスタイルを選ぶ人、

ということになります。

ただそのお付き合いがなかなかうまくいかない人も中にはいます。

ポリアモリーな関係を始めても安定的には続けられない人たちの中に、

いわゆる「メンヘラ」と呼ばれる人たちが一定数いるのではないかと個人的には思っています。

「メンヘラ」というと意味が広すぎる(「精神疾患者」とも、一部は重なりますが異なる概念だと思います)のですが、

具体的にいえば

「あまりにも寂しさに弱い」

人には、

安定したポリアモリーは実践しにくいのではないでしょうか。

実際私の周りのポリアモリー当事者にも、

極度に寂しがりやの人たちはいますし、

その中にはメンヘラと呼ばれるような精神性の人もいます。

ただこれはあくまでも今まで私が見聞きしてきた個人的な経験の中でなのですが、

メンヘラのポリアモリー当事者はいても、

彼らのポリアモリーとしての恋愛模様は決して順風満帆とは言いがたいように思えます。

たとえば恋人の数が非常に多かったり、

あるいは恋人がかなりの頻度で増えたり減ったり、

恋人たちとの間でぶつかり合いが絶えない、

などといった状況を目にすることがあります。
 

私がお付き合いしていたユウヤは、

寂しがりやな人でした。

彼が私と付き合いだして1ヶ月もしないうちに新しい恋人をつくった時、

私は

「自分は彼にコレクションされるトロフィーのひとつに過ぎないのだろうか…」

と悩みましたが、

ユウヤのふるまいを見つめていく中で、

彼が心に抱えている寂しさがどれほど深いか、

少しずつ分かってくるような気がしました。

また、ユウヤは時に私のことをないがしろにしたり、

メタモア(恋人の恋人)と比べて貶めるような発言をして、

私を嫉妬させたり傷付けたりすることもありました。

それはいま思えば、

彼の自分自身を肯定する気持ちが弱かったのか、

私を含めた恋人たちから自分が「愛されている」ということになかなか自信がもてず、

「見捨てられるのではないか」

という不安の裏返しで、

つい私の愛情を試すような行動をしてしまっていたのではないかと思います。

寂しさを人一倍感じやすく、

寂しさに人一倍弱い。

まるでアレルギーのように、

寂しさに過敏に反応し、

居ても立ってもいられなくなってしまう人はいるものです。

そんな「寂しさアレルギー」の人が、

自分の寂しさの源泉である心の穴を恋人に満たしてほしいと願うこともあるでしょう。

心の穴が特に大きくて寂しさを特に強く感じている人が、

1人の恋人では足りずにもっと多くの恋人たちに自分の心の穴を満たしてほしくて、

ポリアモリーを始めることもあるかもしれません。

もちろん複数人を好きになる人にもいろいろなタイプの人がいて、

各人がいろいろなポリアモリーのかたちを望むものですし、

そこには正解も間違いもありません。

そもそもその人がポリアモラスであるかどうかは、

基本的にはその人の自認によって決まるもの。

安定したポリアモリー関係を築けないからといって、

第三者が誰かを「あなたはポリアモラスではない」などと決めつける権利はないのです。

とはいえ

「寂しいから恋人に自分の心の穴を満たしてほしい」

という気持ちに振り回されて恋人を無理に自分の心の穴に詰め込もうとすることは、

結果的に相手も自分も苦しめるものですし、

ポリアモリーであれモノガミーであれ、

その関係性を不安定にしていってしまうのではないかと思います。