今回は、ポリアモリー当事者として私がよくいただく質問の中でも

「誕生日やバレンタインデイ、クリスマスなどのカップルイベントはどうしてるの?

(恋人が複数いると、どちらと過ごすか揉めない?)」

というものにお応えしていきたいと思います。

まず、

最初に身も蓋もないことを言ってしまうと、

私自身は、

カップルイベントにあまり興味をもっていません。

というより、

カップルイベントを「恋人と2人きりで」過ごしたいとあまり思わない、

と言った方がいいかもしれません。
 

以前、

こんなことがありました。

当時の恋人の1人だったユウヤの誕生日が近付いて、

私は彼に箱根旅行をプレゼントしようとしていました。

「昔から行ってみたかった」

と彼が言っていた旅館の露天風呂つきの部屋を数ヶ月前から予約して、

列車も眺めのよい展望席を押さえ、

お互いに会社の休みも合わせて、

あとは当日を楽しみに待つばかりでした。

そんなある日、

私が普段からつるんでいる男友達と話していた時のことです。

「久々にツーリングでも行きたいな。箱根とか」

と彼が呟きました。

「箱根?ちょうど、今度ユウヤと行くよ。なんなら一緒に来る?」

と私は気軽に友達を誘いました。

ユウヤと友達は私を介した共通の知り合いだったので、

せっかくのユウヤのお誕生日だから、

友達も一緒にお祝いした方がきっと楽しいし、

ユウヤも喜ぶよね!

と思ったのです。

その後、その話をユウヤにしたところ、

「恋人との誕生日の旅行に友達を誘うなんて!」

と盛大に怒られてしまい、

びっくりしたのを覚えています。

ポリアモリー当事者の中には、

私のように良くも悪くも「独占欲」「2人きり欲」が薄い人間もある程度いるようです

(ユウヤは、ポリアモラスではあっても独占欲のある人でした。きっと、誕生日を私と2人きりで過ごしたかったのだと思います)。

それを

「束縛がなくて楽」

と思うか、

「愛が足りないように思える、寂しい」

と感じるかは、

人それぞれだと思いますが…。

それはそれとして、

もし私の誕生日やカップルイベントの日に、

恋人たちが私と過ごしたがったら、

私は一体どうするでしょうか?

幸か不幸か、

カップルイベントにおいて恋人を取り合ったり、

あるいは恋人たちに取り合われたり、

という経験を実際にしたことはないのですが、

仮定の話として考えてみたいと思います。

ポリアモリー当事者といっても本当にいろいろな人がいるので、

これはあくまでもきのコ個人の価値観にすぎないのですが、

私は、

もし恋人たちに

「僕と過ごそうよ」

「俺も一緒にいたい」

と言われたら、

きっと

「もう、皆で集まって一緒にわいわいパーティーしちゃおうよ!!」

となります。

そもそも、

楽しいことは皆で分け合えばもっと楽しい!!

という考えの人間なので、

恋人たちばかりでなく、

友達もたくさん呼んで、

大騒ぎできたら最高にハッピーです。

あまり、

しっぽりロマンチックなタイプの人間じゃないのかもしれません。

もし、

「2人きりで過ごしたい」

と恋人たちに訴えられたら、

別の日に改めてそういう時間を作ってゆっくり過ごすことを提案すると思います。

一方で、

恋人に他の恋人(恋人の恋人=メタモア)がいて、

恋人の誕生日を誰とどう祝うかで揉めることもあるかもしれません。

私自身は、

前述のとおり

「カップルイベント当日に、恋人と2人きりで過ごしたい」

という気持ちがあまり強くなく、

「別の日に改めて一緒に過ごせれば、それで十分幸せ」

と思う人間です。

なので、

もし私の恋人とその恋人が当日をどうしても一緒に過ごしたいというなら、

できるだけその日のデートは譲りたいな、

と思います。
 

こういった話を人にすると、

「きのコさんってホントに独占欲がないんだね。きのコさんにとって、友達と恋人の違いって何?」

と訊かれることがあります。

私にとって、

友達と恋人とは独占欲の有無によって区別できるものではありません。

正直、

ポリアモリーな生活を実践するようになってから、

「友達と恋人の違いってわりと曖昧だし、区別する必要性もあまりないかもなぁ」

と思うようになりました

(ただし、友達と恋人とをあまり区別しないせいで、先ほどのエピソードのように恋人の誕生日イベントに友達を呼ぼうとしてしまって怒られる、といったことも起こるので、この考え方は恋人たちの考え方ときちんとすり合わせることが重要だと思っています)。

また、

私には、

いわゆる「両想い」であることがお互い分かっていても、

あえて「恋人」同士にならない、

という合意を共有している相手もいます。

「恋人」という肩書きを利用しない以上、

「恋人は何人いるの?」

と第三者に訊かれた時に恋人たちの1人として数えることはしませんが、

自分の気持ちのうえでは、

他の恋人たちと同じように愛情とコミットメントを感じる相手です。

今回のカップルイベントの話は「ポリアモリーあるある」な難しいシチュエーションのひとつなのですが、

「あらゆるポリアモリーカップルに当てはまる唯一の正解」

なんてものはありません。

イベントの過ごし方だけでなく、

どんなことについても、

それぞれのカップルの中で

「自分はどう考えるか、どうしたいか」

「恋人(たち)はどう考えるか、どうしたいか」

を明確にし、

それぞれの合意を目指して話し合っていくことが大切なのではないでしょうか。